• プロフィール

    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

  • 検索フォーム

  • QRコード

    QRコード
  • FC2カウンター


2010/04/03(Sat)

(No.48) 不況をいかに克服するか

不況はチャンスである」と考えることです。
一般的なことわざで「苦労は買ってでもせよ」と言いますが、不況とはその苦労がお金で買わなくても手に入れた状態であり、求めずして目の前にある時です。 一面ラッキーな面でもあるのです。

 不況に直面して右往左往して経営者仲間で酒やビールを飲みながら、困った困った、今後どうしようどうしようかと悩んでいるとか、先が全く見えないとかの悲観的な話題で終始したり、誰のせいだ、何のせいだと愚痴のこぼし合いをしていませんか?

 そうではなくて、「この不況こそ会社の体質改善や発展へのチャンス到来なんだ」と考えることであります。

 一般的に想像しますと、消極的で悲観的発想になりがちですが、こういう時こそ積極的で前向きの姿勢に転じるこであります。 後向きに考えて成功した人はいません。前向きが正しいのです

 以前に「思考の四原則」で述べた通りであります。(経営コラム№22参照してください
思考方法を変えるだけで気持ちも気分も変わり、意思決定する結論が異なってくるものです。
その結果や成果も大いに異なるものになっていくのです。きっと新しい道も開けてくるものと思われます。ただ嘆いている社長とは雲泥の差が生じていきます。

 この広い世界の中で私だけが、又私達の会社だけが辛いのではありません。みんな多かれ少なかれ影響を受けているものです。

 経済環境の変化は公平そのものなのです。21世紀に入り時代の潮流に大きな変化が生じているのです。世紀をまたぐその変化の谷間に居るのだとお考え下さい。

 改めて原点に返り基本に戻り、理念や志に照らしてみて今後の進むべき道を見定めて下さい。どんなプロでもスランプに陥れば基本に立ち返ると言われます。

 大手で一流と呼ばれている大企業でさえ原点に返り経営体質を総点検し、将来の進むべき方向や戦略再構築を余儀なくされているのです。船と同じで図体が大きいからこそ小回りがきかず簡単に方向転換ができずに途方にくれている大企業が多い様です。

 中小企業の優位性である小回り武器にする事も可能なのです。強みをもっと伸ばそうとする考えは常識的でありますが、ただ注意して頂きたいのは、これまでの強みであった点が環境が大変化している時には、将来も強みであり続ける保障がないという事です。

 競争の世界では、弱みが強みに急に変わることはあまり例がありませんが、今までの強みが将来も続き会社は安泰であるという考えには疑問符が付きますから充分に検討され、慎重に進むべき道や政策立案を熟慮される事を望みます。

 強み弱みを徹底的に分析され、冷静な気持ちで現状を正確に認識し自社を評価し、自社の実力・経営力を正しくつかんで下さい。甘く評価すると誤った評価になり、過大評価になり将来破綻を招くことだって考えられます。

 ある面不況期は非常時でもあり、危機感や緊張感も組織には走っていますので、一体感をかもし出し統率はやり易いと考えられます。ただ過去の経験則だけでものを考え行動しても、うまく行かないものです。従来、当然のこととされていた習慣や商売経営の仕方なども徹底的に見直して下さい。

 具体的には、仕入先、外注委託先、顧客ターゲット、取扱い商品・サービス、販売経路と方法、職制や組織、責任と権限の見直し、基本的な就業規則の見直し、営業マンの意識の改善、行動活動の見直し、管理職の管理活動の見直し、ITの活用度合の見直し、時間活用の見直し、会議体系のチェック等々、全て再検討をゼロから実施してみて下さい。

 順風が吹き、順調で順境の時には、なかなか変革はやりにくいものです。そういう点でもピンチの時は大チャンスなのです。あらゆる領域での改善や改革はやり易いものです。どうか断行してみて下さい。きっと先々効果が現われてきます。

 終りのない不況はないのです。そのうちに好況が少しずつ見えてくると思われます。時期は断定できませんが・・・・?

 その時には断行の効果や断行して良かったと思われることが必ず出て来るものと確信しています。心の使い方と考え方一つなんです。(経営コラム№4と関連)

Home | Category : 経営学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2010/04/10(Sat)

(No.49) 人をつくるために見識を高めよう (1/2)

 最初に「教育とは馬に水を飲ませるのと同じくらい難しい」と言われます。馬が喉が渇き、その気にならなければ、飼主が懸命に飲ませようとしても、どんなにおいしい水でも馬は飲んでくれません。
また、その本人が勉強や学問の必要性が分からなければ、両親や上司や指導者が強制したり押しつけても、さっぱり効果はあがらないとの意味でもあります。
 
 師や指導者のほうから「教えるから学んでくれ」というのではなく、学ぶ側から「知りたい、学びたい、もっと力を付けたい、力量をアップさせたい」と敏にしてかつ教えを求めることから始まるのです。
向上心・向学心や知的欲求がなければ、いくら教えても吸収しないものです。心が動かない、心がその気になっていない、心のスイッチがオンになっていない、意志が働いていないからです。
 
 知識や力量・能力に関して何とかしたい、レベルアップせねばと、喉が渇いた時は熱心に多くを吸収します。求めようとしない者に対しては誰も何もできないのです。要は“押しつけ教育は実をなさない”のであります。
 人をコップに例えますと、寝ていて横になっているコップを立ててあげることが必要なのです。立ててあげないと、いくら注いでもこぼれてしまいます。しゃんとを立ててあげる、つまり“動機付けをする”ことが最重要ということであります。

 ところで、企業の力の源泉は人間であります。お金でも技術でも商品でも営業力でも設備でもありません。本質は人間が握っているのです。事業を活性化するには人を活性化することなのです。企業の強さは人間力の高さと強さで決まります。人間の質、人格、人間性を高め磨くことなのです。

 また、「企業は人なり。事業も人なり」「企業は人により栄え、人により滅ぶ」、「一国は一人を以って起こり、一人を以って滅ぶ」と言われますが、人とはトップのことであります。その訳は、中堅中小企業は社長で90%~95%、ほとんど決定されるからです。要は会社というものは社長次第でどうにでもなる。また、リーダーや指導者の存在がいかに重要なのかを示唆したことばであります。

 一般的に、教育や人材育成は多くの企業で取り組んでおられますが、「教育は下からではなく、上の方から順にやる」のが鉄則であります。末端の若い新人教育には時間と費用をかけますが、経営者・経営陣には、ほとんど何もかけない企業が多いようです。忙しくて勉強なんかする時間がない、不景気だから教育や研修に時間と費用をかける余裕もないなどと目先のことに終始して、さもこれが一番正しいんだと言わんばかりに重要度の認識が低いために理屈をおっしゃる経営者が多いようです。

 古い言葉に「修己治人」という教えがあります。部下を指導したり変える前に己を修めて己を変革させなさいとの戒めの言葉です。他者に影響を及ぼすリーダー学の本質をついた決定的な教えであります。他人を変える前に自分を変えなさいとの教訓です。

 また、江戸時代の儒家、藤原惺窩(せいか)は、「人を正しくせんとならば、まず我を正しくせねばならぬ(理)なり」と言っています。同じ様に、「経営者は優れた教育者たれ」との言葉もありますが、心に響く戒めであり箴言であります。“経営者と同時に教育者の役割がある”との意味です。日頃の自分を顧みてドキッとさせられる言葉ですね。

 本来、この様な状態が理想的であり外部講師や先生に依頼せずとも、社長がいつも日常の言動で部下や社員を育成できるものなのです。効果もすごくあがり経営の成果業績につながっていくものです。全てが良循環していきます。

 次に、一流と呼ばれている会社は創業時から人づくりに注力しています。松下(現パナソニック)は「ものをつくる前に人をつくる」会社と言われ、あまりにも有名な話しです。創業者の幸之助氏は、ご自分の人間観として語っておられますが、「人間はダイヤモンドの原石と同じで、人間は磨けばどこまでも光るものであり、磨かなければ決して光りはしないのです」と述べておられます。また、「人間は偉大なもので磨けば磨くほど、どこまでも成長していけるものだ」とも話されています。

 最後に、教育は英語でeducation(エドュケーション)といい、語源はエドュカーレ(ラテン語)といい“引き出す”の意味であります。そうです“教育の本質は無限の人間の潜在能力を引き出すこと”なのです。与えること、教えることではないのですね。押し込むより引き出すことなのです。

次回に続きます。
Home | Category : 人材育成 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2010/04/17(Sat)

(No.50) 人をつくるために見識を高めよう (2/2)

 言葉で「人間の大いなる潜在的保有能力を引き出して発揮能力にまで高めてあげる」と言うのは、いとも簡単ですが、現実に実現するとなるとかなり時間がかかるものです。
 「継続は力なり」と言われ反復を何年も繰り返すことと、「間を置く反復」が大切なのです。仕事を放棄して毎日が教育や研修ばかりでは会社は存続することはできないからです。

 経営者が解熱剤のアスピリンのように即効性を求められる気持ちは理解できますが、ベルトコンベアーで生産する様な“工的教育”で即効性のある教育はほとんどありません。植物をじっくり育てる様な“農的教育”で時間や手間がすごくかかるものであります。要は、人づくりは、促成栽培ができないのです。だからこそ早く早目に着手することが必要なのです。

 次に教育の効果についてふれたいと思います。
  ① 最初は知識の変化
  ② 技能の変化
  ③ 態度行動の変化
  ④ 意識せずとも習慣になっている状態
    (しつづけることをしつけと言い躾と書き身が美しいと書きます。習慣が最高の状態です)
の4段階があります。

 知識のみが増えて頭の体操に終ったら駄目であります。行動の変化に結びつく教育が求められます。理入より行入をめざすことです。「知行合一」の教えの通りで、本当に知るとは必ず実践実行が伴うものとの意味であります。“経営は実践行動科学である”と言われ、学校教育と企業内教育は本質的に目的が異なっているのです。

 最後に今後の人材育成について、3つの提言として、まとめてみます。

◆提言その1.〔計画的な未来教育投資

 企業の力は教育投資に比例すると言われます。未来に効果が生じ収益や付加価値を稼ぎ出す人材(財)に投資する考え方です。未来投資費としてのメドは総人件費の数%を投資することを提案致します。この投資額は、企業の力と比例するため多いにこしたことはありませんが、大手企業を真似する必要はありません。最低何%は投資すると決める方法が良いでしょう。
 
 物品を購入するのを消費(ケースによっては浪費もあるが)と呼びますが、人材育成は教育投資です。経営は“投資と回収のバランスを取ること”です。投資が先で回収が後です。投資なくして回収ばかりを求めてもうまく運ばないのです。多くの中小企業がこのパターン、考え方をなされる経営者が多い様です。投資と聞くとお金のことばかり連想されがちですが、時間を割くことも投資の一つですからご注意下さい。
 
 企業によっては一時的にはバランスを少しだけ崩しアンバランスな状態に陥ることもありますが、短期や目先にこだわらず長期的展望に視点を移して計画的に実行なされば、きっと将来ウエルバランスの状態に戻ることができるものです。リスクも全然考えなくてもよい投資ですから安心して投資して下さい。

◆提言その2.〔人材開発は重要な経営戦略の一つ〕

 教育とは人材開発のことで今後の企業の存亡をかけた最重要の経営戦略の一つであります。また、人材開発人材育成なくしては経営戦略の実現はあり得ないと考えて下さい。人材育成と経営戦略は、コインの裏表の関係と同様、切り離しては到底考えられないのです。
 
  経営戦略とは詳細は割愛致しますが一言で表現しますと、将来の方向性のことであります。経営体質を構成している各項目を強化改善する為に行動計画が文章化されている中期計画のことを指しています。(当コラム№16参照)数値計画は目的で結果であり、経営戦略は手段であり原因であります。戦略的な人材開発をご提案致します。

◆提言その3.〔経営者の人間観の確立〕

 「社長の器(人間観と人間性)以上には企業は大きくならない。また、大きくしてはならない」との名言があります。 その人の人間観以上には人は成長できないからです。連動して企業も成長できないのです。本日の人材育成のテーマは、人間観に関するテーマそのものであります。

 どうか今一度社長ご自身の人間観を振り返り自分で自分を見つめ直し、自分の人間観を高める努力をなさって下さい。人間観の確立をなさることをご提案致します。「人間観の確立をすることは、経営者にとって一番大切なことである」と松下幸之助氏は格言を残されておられます。(当コラム№13参照
人間観の確立を実現すれば、人間を見る目がガラッと変わるものです。経営方針も変わっていくものです。もち論成果も変わっていくのです。

 最後に再びくり返しますが、会社というものは、社長の見識次第で良くも悪くも、どうにでもなるものであります。どうかご参考になさり、人づくりにチャレンジして下さい。
Home | Category : 人材育成 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2010/04/24(Sat)

(No.51) 部下と己をいかにして動機づけるか (1/2) -叱ること、褒めること-

 管理者の仕事は経営者が意思決定した事柄を実行することにあります。そこで管理者は職務遂行のために目標計画を立て部下に仕事の割り当てを行い、実行をせまり更に業務の進行状況を管理するといった一連の行動、つまり管理活動をとることになります。
 
 換言すれば職務を円滑に進行させるために管理者は組織の持つ力を最大限に引き出し、その力を職務遂行に向けて集約させる働きをすることが求められています。
 
 従って、組織の力を最大限に引き出すためには、管理者は組織構成員の各々に動機づをして個々人の能力が発揮されやすい様にする必要があります。
 
 この時、組織構成員に対する最も効果的な動機づけ、統制法が「叱る」ことと「褒める」ことであります。

 まず、「叱る」から説明致します。「叱る」と「怒る」は似ている様ですが全く異なる行為であります。

 「怒る」とは感情で相手を非難している状態をいいます。「怒る」と顔の表情、言葉のトーン、目付き等、感情は何らかの表情で察知できるものです。こちらが感情で迫れば相手も感情で反応するものです。不快感のみが残り部下の心が萎縮してしまい、次回から怒られないようにするために上司に報告などしなくなってしまいます。その結果、管理者は部下に対して正しい指導ができなくなってしまいます。極力怒ることは避けて下さい。(叱って下さい。)

 一方「叱る」とは相手が間違った行動をしたときに相手の成長を願って愛情を持って理性的に問題点を指摘してあげ考え方や行動の改善を促す行為であります。こちらが愛情を持って「叱る」なら相手は感情的にも受入れやすいと思います。
その結果として叱られた相手は、その理性を受け止めて、あるべき方向に向かって新たな行動を開始していきます。

 次に「褒める」を説明します。「褒める」とは相手が正しいことやあるいは立派なことをした時に、その事を認めることであります。「褒める」ことは部下にとって非常に強い動機づけにはなりますが、一方、管理者にとっては非常に難しい行為であります。

 管理者が部下を「褒める」際には部下の行為が真に正しいものであるか否かを見抜かなければなりません。部下のわずかな側面だけを見て評価を下すことは真に正しい評価とは決して言うことができません。また正しい評価をしない管理者に対して部下の反感が高まってしまい動機づけどころか部下のやる気を失わせてしまいます。
 
 要は「褒める」行為は、価値判定行為であり、相手に価値判定の基準を示すことになるのです。ですから日頃からウカウカと褒めてはいけません。
 
 例えば、営業組織の中で、月末に数字さえ達成すれば上司は褒めてくれるとなれば、月初に達成した人は月末まで努力せずに無駄な時間を消費することなどが考えられます。パチンコをしたり友人と喫茶店でダベッたりするものです。

 そこで、管理者が部下を動機づけようとする場合、「褒める」ことよりも「感謝する」ことの方が簡単であります。しかも動機づけの効果も変わらないものを得ることが可能です。

 「感謝する」ことは相手の力量に関係なく実行できます。管理者自ら状況を作り出すことができます。部下に仕事を頼んで部下がその仕事をやり遂げたら「感謝をする」というように管理者が意図的に「感謝する状況」を作り出すことができます。
 
 「褒める」よりは「感謝する」技術を身に付けて下さい。「ありがとう、感謝しているよ」などの言葉を身に付けて下さい。
この様に管理者は部下に「感謝する」ことによって積極的に動機づけを行うことが好ましいと考えています。怒りっぽい管理者は叱って下さい。簡単に「褒める」ことは注意信号です。できれば「感謝」をして下さい。

次回に続きます。
Home | Category : 人材育成 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
Home Home | Top Top