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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2010/08/07(Sat)

(No.66) あなたの会社の「組織風土」は好ましいものと言えますか?       -その1-

-ある社長との対話から-
〇 社長:
 うちの会社では、せっかく良質な社員が入社してくれて助かったと思ってましたら、1年も経たないうちに辞めてしまいました。期待していたため、すごく残念な思いをしました。
◇ 私 :
 今回が初めてのケースなんですか?
〇 社長:
 実は思い出してみますと今までにも何回かこの様なことがありました。定着率が悪く、人をつくらねばと思って人を育てる気持ちはあるんですが、なかなか人が育ってくれません。
また、社員の方にも向上心をあまり感じたことはありません。今後どうしたら良いのでしょうか?アドバイスを頂きたいのですが・・・・。
◇ 私 :
 そうですか一度だけではなくて、何回か発生したんですね。かねがね、私が申し上げている「人をつくりなさい。企業は最終的には人が財産だ。人材育成をしない企業には明日はありません」との言葉は、良く社長はご理解なさっている様でしたが、現実はなかなか思うようには進んでいない様ですね。
〇 社長:
 はい。理想と現実は食い違いばっかりです。何か具体的な解決策はないものでしょうか?
◇ 私 :
 じゃもう少しお話をお伺いしましょうか。まず、社長の使命感とか、価値観、経営観などの具体的表現としての経営理念当コラムNo.25参照)は明文化なさっておられますか?
〇 社長:
 数年前に一所懸命頭をひねり、他社の理念を参考にしてなんとか完成させました。
今では当社のホームページのトップに経営理念として掲げてあります。
◇ 私 :
 ほう、それは素晴らしいですね。じゃその経営理念は全社に浸透して、社長の使命感や価値観が社内全体で共有化できているかについては如何でしょうか?組織全体が「同志的結合体」になっているかどうかで考えてみて下さい。
〇 社長:
 ウーン。そう言われてみれば、全然浸透していない様に思われます。私一人で、無い知恵を絞って作成致しましたし、幹部には少し説明しましたが、それ以降は何もそれらしき行動はしておりません。知らない社員も多いかもしれません。私の部屋に額に入れて飾ってあるだけです。
◇ 私 :
 そうですか。残念ですね。経営理念だけが一人歩きをしている状態ですか ・・・・。
今後は何かアクションが必要になられるでしょうね。
〇 社長:
 なるほど、やっぱりそうでしたか。何か対策が必要なのですね。わかりました。
◇ 私 :
 では次の質問ですが。会社の成長発展に向けた活発な意見具申とか、提案とかの動きについては如何でしょうか?
〇 社長:
 そうですね、今まで私に対して意見具申とか「顧客の不満を解消するために、こうしましょうか」などの提案は、ほとんどあったことはありません。全て私が考えて私のトップダウンで販促政策なども実行してきました。もう20年近くこの状態でやってきています。全体的にぬるま湯的というのか、現状に安住しているのか、幹部を見ても、将来に対しての危機意識や問題意識は感じたことはありません。
◇ 私 :
 そうですか、全体的にぬるま湯体質ですか。また、危機感や問題意識が幹部の方々にもあまり感じられませんか。御社は、創業以来、順調に発展を続けられ優良企業だとの外部評価が高いため、危機感が薄いのかも知れませんね・・・・。
〇 社長:
 そうなんでしょうか。今までは何とかやってこれましたが、やはりこの不況でしょう。来期以降、利益が出る保証はこれっぽちもありません。私は危機意識でいつも頭の中は一杯なんですが・・・・。
◇ 私 :
 少し会話を整理してみましょうか。
  ① 良質な社員が入社1年未満で退職された。過去にも何回か同様なケースがあった。
    定着率は悪く、なかなか人が育たない。社員の向上心もあまり感じられない。
  ② 経営理念は明文化されていて、ホームページで対外的には発信しているが、
    内部に対しては浸透はしてなくて共有化はなされていない。
    「同志的結合体」とは呼べない状態。理念だけが一人歩きしている。
  ③ 活発な提案とか意見の具申はほとんど無く、ワンマンでトップダウン方式。
    ぬるま湯体質で危機感や問題意識は感じたことが無い。
 と整理できると思われます。
〇 社長:
 人が定着せずに育たない点、経営理念の件、危機意識の無さの3点にまとめて頂きましたね。
◇ 私 :
 これら3つの課題を、ひと言で表すならば「組織風土」もしくは「企業文化」(コーポレートカルチャー)のテーマといって良いでしょう。
もち論、社長が考えておられることは、「組織風土」が好ましい状態ではないので、なんとか解決をして、好ましいものに改善したいが、との相談になると思います。

 (次回に続きます)
 
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2010/08/15(Sun)

(No.67) あなたの会社の「組織風土」は好ましいものと言えますか?     -その2-

〇 社長:
 「組織風土」や「企業文化」のテーマなんですね。少し具体的に教えて頂けますか?
◇ 私 :
 「組織風土」とは、組織の構成員に「共有化された価値観」のことをいいます。日常の考え方や行動の規範となっているものです。社員の皆さんの日常の行動を通じて、長い時間をかけて次々と伝播(でんぱ)していき、やがて企業の風土・体質となっていくものです。価値観といっても、はっきり目に見える形で現れませんから漠然としています。無形のものなのです。
 
 社長が精魂かけて作られた経営理念は、「共有化すべき価値観」を表現なされていますが、それは単に将来、目指すべき方向性を明文化したに過ぎないものです。ですから、現状の価値観が共有化されていると考えることとは全く異なるのです。また、風土や文化を発見するには、社員の日常の活動・行動を見て推し測るしか方法はないのです。
 
 社長の今日の相談のテーマは、社長ご自身が社員の言動と行動をずっと観察なさった結果、表面に現れた現象を私に伝えられたもので、それを私が推測して、各種の現象をひと言で風土とか文化という概念でくくって差し上げているだけに過ぎないのです。

〇 社長:
 なるほど、「組織風土」というものが少しわかってきました。「組織風土」とは「共有化された価値観」のことなんですね。創業から現在まで数十年もかかって浸透し蓄積された風土で組織の体質なのですね。
 
 また、私が時間をかけて作り上げた経営理念のことも、良く理解ができました。私一人が、持ち抱えていて満足し、組織の末端まで理解させ、行動規範となるまで、まだまだやるべきことが沢山あることがわかりました。
◇ 私 :
 理解して頂いたようで有難いです。もう少し補足致しますと、「組織風土」というのは、中堅中小企業においては、社長トップの人間性や人格や経営姿勢、生き様など、それらのものが要因となり、その会社の風土を創り上げているものなのです
 
 社長の人格、姿勢、生き様、さらにはそれらの根本にある社長ご自身の価値観が幹部に伝わり、さらに一般社員へ伝わり、やがて企業の風土や体質や文化となっていくのです。
 社長が意図するか否かにかかわらずに、企業の組織とはそうならざるを得ないものなのです。
〇 社長:
 そうなんですか。自分で私自身の価値観を考えてみたこともありません。少し難しい内容になってきましたね。私の価値観が根本で現状の「組織風土」になっているのですか。驚きました。ある面少し怖いきがいたしますね。
◇ 私 :
 社長の価値観が根本であり、「組織風土」が醸成されているという原理に触れられて驚かれた様ですね。でも心配なさることはありません。
〇 社長::
 現在の私にとっては、好ましい風土でない状態を、なんとか解決して、好ましい状態に改善するには一体どうすれば良いのでしょうか?もしよろしければアドバイスを頂けないでしょうか?
◇ 私 :
 「組織風土」を好ましいものに改善したいと願われるならば、まず社長トップ自ら、自己を変革することから始めなければなりません。
 
 そのためには、まず現在の風土を創り出している社長の姿勢や人格についての現状を、社長ご自身が鮮明に認識する必要があります。自分にとって、自分という人間は一番近い存在でありながら、一番遠い存在であり、なかなか自分で自分はどんな人格かを判定したり、判断するのは難しいことなのです。
 
 だから、社長自身が周囲からどう思われているかを、ある方法にて調査し、その尺度を判定基準にすると、わりと簡単に自己が見えて自己変革のスタートにして頂くことができます。
 
 要するに、その調査は他人の評価を基準にするため、全てが納得できるものではないかもしれません。「いやこれは違う、全く他人の評価は当てにはならない」などと、断定はできませんが、面食らう時もあられるかも知れません。
 
 他人の評価と自己評価にギャップがあるのはむしろ当然なんだとお考え頂きたいですね。具体的な調査に基づく資料がないために口頭だけの説明では充分理解して頂くのはちょっと難しい様ですね。
 これ以上の具体的な話は、またの機会に譲りましょう。また、機会を作って下さい。その時に説明をしたいと思います。

〇 社長:
 いろいろと私の悩みを聞いて頂き、お話をして頂き参考になりました。誠に有難うございました。日を改めて、今日の続きをお伺いしたいと思います。

 (次回に続きます)

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2010/08/21(Sat)

(No.68) あなたの会社の「組織風土」は好ましいものと言えますか?     -その3-

 自社の現状の「組織風土」はどの様なものなのか?現状を認識し、また改善するにはどうすれば良いのかについて述べてみたいと思います。

 「組織風土」の良し悪しを判断する物差しには次の“5つの要素”が考えられます。
 
①“同一の危機感”をもっているか否か?ぬるま湯につかっている状態なのか否か?
②“共通の価値観”があるか否か?組織全体が、「同志的結合体」になっているか否か?
③“自信と信頼”に満ちた組織かどうか?お互いが信用できず不信が蔓延していないか?
④“感謝の気持ち”を組織全体が保有しているか否か?礼節が重んじられ、組織の秩序・調和ができているか否か?
⑤“高い欲求水準”や“強烈な達成意欲”はあるのか否か?
 以上5要素について、一つずつ考えていくことにしましょう。

 まず①の“同一の危機感”をもつということを説明します。

 今どれほどの努力がなされ、改善が進行していようとも、「それだけで企業の成長発展が確保される」とか、「このままでも自己の成長や生き甲斐が得られ続けられる」といった「現状安住」の考え方を排斥し、いかなる状況においても常に現在及び将来に対する「危機感」を持ち、より一層の改善を実現していこうとする感情のことを言います。
 
  私達は少しうまく行くと「これだけ改善したからもう良いだろう」とか、「あれだけ努力したんだから仕方がないさ」などの感情を持ちます。
 
  この感情を放置しておけば、組織というものは、いつの間にか「現状安住」の考え方が蔓延してしまい、現状や将来に対する危機感が薄れ、改善意欲がなくなってしまいます。危機が現実に迫っていても、過小評価してしまい、対応が遅れたり、怠ったりして衰退が続き、破綻してしまうこともあります。
 
 よって、本テーマは今日的であり、極めて重要な課題であります

  “同一の危機感”という要素が、万が一、好ましいものでない場合の対応策として考えられることは、①現状を目標(将来実現したい状態)との比較で正しく認識をさせること。②問題形成・認識力を向上させること。③オープンなコミュニケーションルートを整備すること等が考えられます。

 現状と目標のギャップの大きさを正確に理解させることが重要です。人により問題が全く見えない人や、次々と問題を発見する人がいます。問題形成・認識力は大切な力であります。

 ここで、注意して頂きたいことがあります。“同一の危機感”を醸成するとは、「会社が明日にでも倒産する」などと、危機感をいたずらに、あおることとは全く別のことであります。「前向きな意欲」を生み出していくという意味でありますので、ご注意願いたいと思います。

 では次に②の“共通の価値観”をもつということを説明します。

 以前に説明しました様に、「組織風土」とは組織の構成員に「共有化された価値観」のことと定義付けをしましたが、ずばりこのテーマそのもののことであります。
 
 組織の構成員が、ある事象に直面した時に、その事象に対してどの様な価値を認めるのか?についての考え方や見方が共通しているという状態を言います。同じ方向に向かって一致団結して行動しようとする気持ちを生み出す源泉となっているものです。組織力というエネルギーにつながるものです。

 価値観とは各人の考え方であり、各人の行動決定の基になるものであります。人間観・人生観・世界観・使命観・職業観・経営観などと細目に別れていきます。100人いれば100人の考え方があり行動も違います。組織にあっては個々人に任せておれば組織力、全社のエネルギーや勢いが発揮されないばかりか、バラバラでは崩壊してしまいます。
 
  よって目標や目的達成に向けた価値観の共有化が大切になるのです。そのためには組織のトップである社長のリーダーシップが当然必要になります。人心の掌握と意思の統一、十分に心を開いてのコミュニケーションが大事になります。

 “共通の価値観”が形成されてない場合には、組織として共有すべき価値観を明確にすることから始めて下さい。次にそれらの価値観を明文化し、共有すべき価値観として、全組織の末端まで浸透させることが必要となります。
 
 口で言うほど簡単ではありませんが、時間をかけてでも取り組んで頂きたいと思います。「経営理念」や「社員の行動規範」として形になさると良いかと思います。形になった後のフォロー、浸透活動も忘れないで下さい。

 (次回に続きます)
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2010/08/28(Sat)

(No.69) あなたの会社の「組織風土」は好ましいものと言えますか?         -その4-

 次に③の“自信と信頼”をもつということを説明します。
 
 「自信」とは、自分の持っている能力・価値・可能性を信じる気持、ないしは自分の存在を頼もしく思う気持であります。
「信頼」とは、他人の持っている能力・価値・可能性を信じ、頼りにする気持であります。いずれの感情も積極的でチャレンジングな行動を生み出すのに必要不可欠なものであります

「自信」が高じて「自信過剰」にならないこと、傲慢にならないことです。また、信頼関係も、注意しないと馴れ合いに変化します。心してかかりましょう。

 “自信と信頼”を保つには、豊富な「疑似体験」をさせることや、できるだけ多くチャレンジさせ、「成功体験」をさせることです。必要な権限を委譲して支援してあげること、また、その体験を積極的に評価してあげることです。
 
 読書や人の話を聞くことで「疑似体験」ができます。人によって雲泥の差が生じるのは、自分の周りから各種のことを学ぼうとする、ほんのちょっとした「姿勢」の違いで差が生じるものです。日頃の「目的意識」の違いと言っても良いと思います。皆、各人各様に異なるものです。一日の差は小さいものですが、数年の差は誠に大きなものになっていきます。
 
 また、長い仕事人生の中では失敗もあります。実際に失敗の体験もします。一回目の失敗は失敗ではなく良い経験であると思い、同じことを二度と繰り返さないことが大事です。何度も同じことをしていることを失敗といいます。人間とは痛い思いを体験しないとなかなか改心しないものです。骨身に沁みないものなのです。

 ④番目の“感謝の気持”をもつということを説明します。
 
 自分が現在の状態でやっていけるのは、他者から受けた力添えの結果であり、お蔭であることに「気づき」、心からありがたく思う気持ないしは心情のことです。他者に対し貢献していこうという意欲や献身的な行動を生み出す基になる感情であります。この気持があればあるほど、他者に対して何らかの形で報いなければならないとの気持が生まれていきます。例えどんな状況になろうとも、誠実に仕事をせねばという姿勢も生まれてくるものです。
 
 ところで、この気持は人によっては、同じ状況に出会っても強かったり、逆に全く感じないという人もいます。それは心の持ちよう、つまり「気づき」の度合いが人によって違うからであります。感性、感受性、心の受信装置の違いと呼んでもいいでしょう。人によって千差万別なのです。
 
 例えば、ごく平凡な食事を頂いても「気づき」の深い人は、「本当にありがたい」と感じるでしょうし、そうでない人は、どんなに豪華な食事を頂いても「ありがたい」とは思わないものです。
 
 この“感謝の気持”が、組織に充満していけば、雰囲気はなごみ、人間関係もマイルド、穏やかなものになっていきます。「組織風土」も変化していきます。
 
 自己中心主義、私利私欲のみから、他己中心主義、公利公欲、周りのため人のためへの気づきや価値観の転換が求められていきます。
 
 日頃のトップ・社長の力量が試される非常に難度の高いテーマになります。その理由はトップ自身の人間性、人格、経営姿勢、価値観が多大な影響力を持っているからです。

  “感謝の気持”が弱い組織であるなら、トップの自己変革が成されれば周りがどんどん変化していきます。にわかに信じ難いでしょうが、私は、何回も経営指導の場面で体験しております。「他人を変えようと思えば、自ら変化せよ」とはよく言ったものであります。

  日常では、周りの人々に「気づき」の場を与えること、「気づき」の感情を持続させる努力をされること、“感謝の気持”が起こりやすい状況を作ることなども大切なことだと思います。
悩んだり問題を抱えている人に対しては、人間としての思いやりのある支援をするなども大切になるでしょう。

 (次回に続きます)

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