• プロフィール

    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

  • 検索フォーム

  • QRコード

    QRコード
  • FC2カウンター


2012/05/05(Sat)

(No.157) 至善に止まるとは?「大学」に学ぶ(1/2)

 「大学」という古典は、“大人の学”といわれています。「大人」とは他によい影響を及ぼすような人物のことで、組織のトップやリーダー・社長・経営者・指導者を指しています。
 
 その大学の三綱領の一つに「至善に止まるに在り」とあります。「至善」とは我々が普段に使う「」とは次元を異にするものであります。
 
 我々はよく「これは善い、あれは悪い」とか「善に対するものは悪だ」とか言いますが、一体何を基準にしてそう言うのか一度考えてみる必要があると思います。

 結論的に言えば、案外、自分というものを中心に考えていることが多ものです。自分に都合が良いこと、好ましいことをといい、自分にとって嫌なこと、嫌いなこと、憎らしいこと、つまり合が悪いことを悪としていることが多いことに気が付くはずです。
 
 つまり、この「善」とか「悪」とかは相手によって変わっていくのです。今まで仲良くて親切にしてくれるので、あの人はいい人だと思っていたところ、何かの調子やきっかけで一度でも不親切にされたり意見が合わなくなると、あの人の顔を見るのも嫌だとコロッと手のひらを返したように変わるものです。

 この様に「善」と「悪」とが自分の都合や好き嫌によって入れ替わっていくのです。この様な関係を相対といいます。
 
 私達は、この様な相対の善悪の世界で動いていることが誰でも日常的であり、一般的な現実の姿であります。それがだんだんと、「自分にとって都合のよい人が善い人で、少しでも都合の悪い人が悪い人だ」と思ったり考えたりします。

 「自分の家に都合の良いことが善で、都合の悪いことは悪だ」「自分の会社を儲けさせてくれるのは善で、それを損なうものは悪だ」「自分の国に都合の良いことが善で、都合の悪いことは悪だ」と自分中心・自己中心の価値観で善悪を判断しがちであります。つまり自らの都合や利益によって左右されていくのです。
 
 国の場合は国益といいますが、その利害関係が対立し究極は戦争になったりします。平和な時に人を殺せば殺人罪ですが、戦争となるとたくさん殺した人ほど功労者となります。
 広島と長崎に原子爆弾を落としたことを、「なんと無非道な行為でけしからん」と考えますが、アメリカではあの飛行士は英雄となっています。その国によって、同じことが善になったり悪になったりするのです。これらが相対の世界での善悪の見方であります。

 本テーマの「至善」というのは、こうした相対の世界を超えたものであります。

(次回に続きます)
 
Home | Category : 人間学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2012/05/11(Fri)

(No.158) 至善に止まるとは?「大学」に学ぶ(2/2)

 話は少し転じますが、東洋思想によりますと、天には天のルールがあり、これを「天道」といいます。地には地のルールがあり、これを「地理」といいます。これを合わせ天道地理と呼び、略して「道理」といいます。
 
 また、人には人のルールがあって、これを「」といいます。ですから、「道理」を人間の立場で表現すると「道義」もしくは「人道」という言葉になります。人道を外したら人間でなくなってしまうのです。
 
 この人間の「義」は個々の「利」を超えたものです。「自分には都合が良くて利益になるが、道理にはかなっていない」ことと「自分には都合が悪く利益はないけれども、道理にはかなっている」ということの二者択一を迫られた時に、どちらを選ぶかで人間の価値が分かれていきます。
 
 東洋の古典によりますと「」をとる人を「君子」もしくは「大人」、「」を優先する人を「小人」といっています。論語で有名な、「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」(里仁篇)と述べられている通りであります。
 
 この「義」と「利」の問題は、昔も今も変わらずに、人間の価値を決める上で大きな判断基準となっているのです。昨今の経済的な事件や不祥事を眺めてみれば、その中心的リーダーが大人か小人かは、一目瞭然であります。
 
 日常のビジネスの世界でも「義」と「利」は、常に関係しているテーマで重要なものです。ビジネスや経営にもルールというものがあり「義と利は表裏一体」といわれ、「義にかなうものが本当の利」であるといわれます。
 
 目先の利を求め、役に立つからといって小人を用いると、大局的には本当の利を得ることはできません。正しい行為「義」を積み重ねて得られる利こそが本当の利であります。「義こそが利の元になる」のです。

 義と利のどちらを優先するのか?またどちらを優先して日常のビジネスをやっているのかを「義利の弁」といって我々に教えを残しています。売上や利益に関心が注がれるのは当然ですが、経営に携わる方々には心して頂きたいテーマであります。

 本題に戻りますが、相対の世界を超えたもの、相手や民族や時代を超えても変わらない「絶対」なるもの、それが「至善」であります。絶対とは「一」の世界であり、相対とは「二」の世界です。だから、人間ですから、どっちにしようかと常に迷うわけですが、絶対というのは一つしかないから、もう迷いようがないのです。その絶対ということは「道理」や「道義」にかなっているため「至善」といい、絶大なる「一」の世界のものであります。
 
 そこで、本日のテーマである「至善に止まるに在り」に関しますと「善に至って止まる」とは、「一に至って止まる」と同じ意味で、文字でいうと「」(一に止まると書きます)という字につながっていくのです。
 
 だから、「正しい」とは、道理や道義にかなっていることを表しているのです。その正しいの反対語が「」です。私達はよく、正邪、善悪というように使いますが、厳密にいえばこういうことになります。
 
 ですから人間が行動する場合に、正邪(道理道義にかなっているか否か)というものの考え方の上に立つのか、善悪(自らの都合に合っているか否か、好きか嫌いか)あるいは損得の世界の上に立つのかによって、大きく変わっていくのです。
 
 最後になりますが、その選択は、その人自身が選ぶものであって、その人の価値観は十人十色であり、他者から強制すべきものではないのは当然であります。

 
Home | Category : 人間学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2012/05/18(Fri)

(No.159) 最低必要売上高の設定(安定)について

 どこの企業でも新しい事業年度のスタートにあたり、売上利益計画を作成立案なさっていると思いますが、その売上利益計画に関して注意事項を2回にわたって述べてみたいと思います。

 安全と安心を求める最低必要売上高の設定とは、必達売上目標のことで、内部費用から算出するものです。内部起因から算出し、一年間で、短期計画で、局部的で、技術的で、戦術的であります。 従って、数値のみの、単年度の「売上利益計画書の作成のことになります。

 最低必要売上高と挑戦目標売上高(次回にふれます)はどちらも大事であります。両方の目標を作ってチャレンジするのが正しい経営になります。今回は最低必要売上の設定に関して述べてみたいと思います。

 必達の売上目標は初めに売上があるのではなく、初めに必要固定費と必要利益があって、その固定費と利益を獲得するためには「これだけの売上がないと生きていけない」と言う社長の意志を込めた数字が最低必要売上高であります。

 例えば「必要固定費と必要利益が増えて、現在の売上では賄えない」と言う社長がよくおられますが、それは売上を伸ばす以外に方法はないのであります。もし売上を伸ばすことが100%不可能ならば必要固定費を再度徹底的に見直して切りつめる方法に移っていきます。

 現在の経営環境はデフレで低成長の時代ですから、売上成長を目指すのはかなりの経営努力が必要です。できれば、売上が横這いでも、もしくは万が一売上が20%~30%減少しても黒字になるような方法(減収増益)を考えておくのも「備えあれば憂い無し」で安心のできる経営かもしれません。

 売上に合わせて経費や利益を決めていては、経営は成り立ちません。過去の高度成長の時代は通用したかも知れませんが、環境がガラッと変化してしまいました。よって必要固定費と必要利益を賄える売上を達成するのが社長の仕事であります。

 山勘でまず売上を設定し、PLの上の方から引き算で利益を求めるのではなく、下の方から必要利益と必要固定費を足し算して必要限界利益を求め、最後に限界利益率で割り算をして売上を求めていくものです

 
その後の作業は、その算出した売上高目標を達成する具体的な検証に入ることになります。営業メンバーとの会議などに移るでしょう。

 必要利益の額とは、最低、長期借入金の元金返済額(年間の)を当てて下さい。必要固定費の内訳は、人件費、一般経費、支払利息、減価償却費のことになります。それぞれ明細を積み上げて計算して下さい。

 最低必要売上高とは、この様な流れで計算された、必達の売上高なのです。実績を出してからでは遅すぎます。売上実績を出す前に、この必達の売上目標額を算出し、「この数字を達成しなければ会社の存続は難しいのだ」と、意識を込めた経営をして頂きたいと思います。 万難を排して達成しないといけない、最低ラインの売上目標の設定であります。

【補足】 
 限界利益とは、売上から変動費を引いた数値です。また変動費とは、売上の増減に比例して増加減少をする費用です。もし売上がゼロであれば発生がなくゼロの数値になります。具体的には商品仕入・材料仕入や外注費などが一般的であります。

 次に固定費とは、売上とは無関係に発生する費用のことで、売上がゼロであっても必ず発生する費用です。期間や時間に比例して発生する費用です。人件費などは固定費の最たるもので、年間費用を狂いもなく計算できるものです。

(次回に続きます)
 
Home | Category : 経営戦略 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2012/05/26(Sat)

(No.160) 挑戦目標売上高の設定(成長拡大)と将来の事業構造改善について

 先回の最低必要売上高に関連して今回は、成長拡大を目指す、挑戦目標売上高の設定について述べてみたいと思います。

 これは、外部要因から算出するもので、中長期的で、全体的で、思想的で、戦略的なものになります。従って、5年程度の「中期事業発展計画書」の作成になります。

 この計画は、数値計画だけでは当然不足であります。その他の肉付けが必要になります。 新しい商品をどうするのか、新しい得意先をどう開拓するのかなどを実現しないと、決して付加価値を増やすことはできません。

 具体的に述べますと、①営業構造改善計画や ②商品力強化計画や ③経営陣の経営能力向上計画や ④管理者幹部の能力向上計画や ⑤一般社員の帰属意識の改善と能力向上計画や ⑥財務体質改善計画などが必要になってまいります。

 従って作成の所用時間も何十時間もかかることになります。会社の規模にもよりますが、ページ数も数10ページから数100ページにわたることもあります。作成のメンバーに関しては、役員は当然ですが幹部の方々もメンバーに入れて討議や会議を通して作り上げることが望ましいと思います。

 私の経験で申し上げますと、この中期事業発展計画を作る過程を通して「経営とは何ぞや?」が体系的にかつ細部まで良く理解できるようになります。また出席メンバー全員の経営能力向上が図られ、一石二鳥の効果を得ることが可能になります。

 特筆したいことは、経営に関する知識もさることながら、経営に関しての意識の向上が喚起できる点であります。私が常々口にする能力の差はどんなに開いても5倍ほど、意識の差は100倍開くことであります。意識を変え、意識を高めれば経営改善はどんどん進化するものなのです

 もう一言加えますと、「経営の改善は人の改善」であり、「人の改善は人の意識の改善」といわれています。この言葉は、格言であり、箴言であります。実務にて多いに活学して下さい。(経営コラムNo.22 参照)

 現実的な話になりますが、初めて中期事業発展計画策定を体験される方は、難度が高いために簡単には進まないとお考え下さい。その時は実務経験があるプロの経営コンサルタントに指導協力や支援をお願いし、ナビゲーター役を務めていただくことで、計画作成をなさることが得策だと考えられます。

 その場合は、少し時間とコストはかかるでしょうが、外部の専門家を上手に活用するのも将来から考えますと、経営体質改善強化が実現でき、費用対効果で考えても、きっと満足のいくものと考えられます。

 反復になりますが、最低必要売上高(単年度の売上利益計画書)挑戦目標売上高(中期事業発展計画書)はどちらも大事であります。両方の目標を作ってチャレンジするのが正しい経営なのです。

 ぜひとも我が社の中期事業発展計画書を策定なさることを提言したいと思います。(経営コラム No.16、No.19、No.56~No.59 参照)

 経営者の方々から「中小企業だから、まだそんなものは必要ないさ」「もう少し大きくなってからで間に合うさ」「計画を作るのにそんなに時間や費用がかかるなら無理だ」などの声が聞こえてきそうですが、「中小企業だからこそ、またこの様な先が見えない時代だからこそ必要なのだ」と意識づけすることが企業の将来の命運をかけた分岐点になると考えて下さい。  

 現業だけで何年食べていけるのか?総需要や市場サイズはどれ程の規模か?成長か成熟か?衰退か?ライバルや業者数の動向は?などを検討する作業が求められます。

 自社の事業は、百科事典販売や住宅建築や墓石建築の様な「市場縮小型」のマーケットなのか?それとも化粧品販売・消耗品・消費財販売の様な「市場拡大型」なのか?の将来の見極めや見通しが大切なポイントになります。

 また繰り返し繰り返しの「反復」がある商品なのか?否か?必需品・雑貨品のコモディティ商品なのか?専門品・特殊品のスペシャリティの商品なのか?などで採り得る施策や戦略が全く異なってくるのです。

 我が社の事業の形態は「見込み型」か?「受注型」か?(経営コラム No.153、No.154 参照)また形のある見込み商品か?形のない受注商品か?市場縮小型か?市場拡大型か?反復が見込めるのか?見込めないのか?一回購入したら次の購入までどのくらいの周期で反復が可能なのか?我社の本当の商品は何なのか?存在意義は何か?強み弱みは何か? など、これらの複数の見地より考えて理論や法則にのっとり戦略を立てることが非常に大事であり、それが社長の大事な仕事であります。

 この中期事業発展計画なくしては、将来の成長拡大は決してあり得ないし、決して望めない妄想に過ぎないのであります。ただ安定や安心を得るために、毎年毎年、必達売上目標(最低必要売上)だけで経営を続けるのみであります。ご一考を。
 
Home | Category : 経営戦略 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
Home Home | Top Top