• プロフィール

    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

  • 検索フォーム

  • QRコード

    QRコード
  • FC2カウンター


2013/07/06(Sat)

(No.218) 今こそ 二宮尊徳に学び 経営に活かそう (その4)

それでは最後の思想体系である、第四番目の「経済と道徳の調和」の思想について進めたいと思います。この思想は現代の経営実務とすり合わせをしながら読んで行かれたらいかがでしょうか?経営者の方々が一番興味のあるテーマかも知れませんね。
 
まず初めに道徳を忘れた経済は罪悪である。しかし経済を忘れた道徳は寝言であると言っています。
 
  この思想は、道徳と経済は、同時にバランスよく両立させて初めて価値がある。どちらか一方に偏ってはだめであると、道経一体論を主張していると思います。
 
経済を経営と読み替えれば一層身近になるでしょう。この考えは現代の経営でも充分に通用するし、経営に関与する全ての人々が、遵守すべき貴重な教えだと思います
 
彼はこの思想を説明するのに、水車を例にとり三つのケースに分けて以下のような話をしています。
 
まず最初に好ましい状態から説明しています。水車(人道で作られたもの)が、ほどほど水の流れに浸かっておれば、水の流れ(天道のもの)を動力として利用可能である。この天然水の利用で植物も潤うし人も潤い、その結果地域も潤い、経済が発展していく。この様に人道と天道の組み合わせが、いいあんばいという調和が大切なのだよ、この状態が経済と道徳の調和というのだよ話しています。道徳がエネルギーとして機能を果たせば経済が成り立つのだよと教えているのです。
 
だがその反面、水車が水の中にドップリ浸かってしまえばその働きを成さないので、経済は成り立たない。天道のままで、人間みんなが自己中心で我欲私欲のままに振る舞うなら経済はうまく行かない。道徳という人道を無視したためだよと説きました。
 
  三つ目のケースは、水車が水の上にあれば、接点が無いので永遠に動かない。役に立たない水車になる。例えるなら、ある高僧が口先だけで説く机上の空論と同じで実学から離れてしまう。これが経済と道徳の乖離の状態だよと話しています。
 
  以上ですが、この経済と道徳のテーマは抽象的であるため、少しばかり難しいテーマだったかも知れませんね。
 
  それでは彼は具体的に商売や経営に関した教えを、現在に生きる我々にいかなる点を残しているのかについて紹介して見たいと思います。
 
まず基本としての教えになるものとして「なんじ売買をなすとも、必ず儲けるなどと思うべからず、ただ商道の本意を勤めよ」と言っています。何時の時代でも、まず売上や利益を必死に求めがちになりますが、物には本末があるため順番を間違えてはいけないのだよ、と解釈して良いでしょう。
 
続けて「商人たる者、商道の本意を忘れる時は、眼前の利を得るとも、将来は結局滅亡を招くなり。よく商道の本意を守って勉強すれば、財宝は求めずして集まり、富栄繁盛 量(ハカ)るべからず、必ず忘れることなかれと教えています。
 
この教えは、「商道や商売の本質をつかまずして、安易な気持ちで商売や経営をやってはならないよ」と我々を戒めたものであります。この教えに照らしてみて、我々も自己を振り返ってみたいと思います。
 
以外と現実を振り返れば、本質をつかまずに経営に携わっているのかも知れませんね。ヒヤッとするほど己を戒めるべき教えかも知れません。この教えも現代に充分通じるものでありましょう
 
また「商売というものは、売って喜び買って喜ぶ」というものでなければいけない。「買い先 売り先の楽しみが自分の楽しみであり、買い先 売り先の悲しみが自分の悲しみである」この心構えを持つべきであるとも説いています。
 
この思想は「売買一如」の教えと言われ 自他両全」の教えとも言われています。前述の 「一円観」の思想そのままであります。売って喜び、買って喜ぶ、双方が一緒に喜ぶ状態を目指すことを示しています。私が常に口にする「自喜喜他」 「自利利他」と思想を同じくするものと考えられます。
 
皆さんよくご存じの、近江商人の説く「三方よし」もこれと同じ思想であることが伺えます。
人のために働くつまり 報徳精神であり、彼は「金儲け優先の経営は考えたことがない」とも喝破しています。
 
(次回に続きます)
Home | Category : 経営学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2013/07/13(Sat)

(No.219) 今こそ 二宮尊徳に学び 経営に活かそう (その5)

彼は、日頃の経営実践上の注意事項として「四ヶ条の美徳」としてまとめ上げ、我々に励行を薦めています。これは前述しました、報徳の道の実践テーマであると言われています。報徳のキーワードである「勤・倹・譲」の三つを含んだ教えになっています。
 
彼の基本思想を振り返れば、報徳の道とは、いかに幸・不幸な境遇と思われる身であっても、天と地と人の恵み、恩徳によって生かされている。よって人間の生き方の根本として、その徳に報いていくことを決して忘れてはならないとの教えでありました。
 
この四ヶ条は、何度読み返してみても、現代経営に当てはめて考えても充分に通じるものだし、貴重な価値ある教えだと考えられます
 
時代が150年以上経た今でも、さび付かず伝授されているのは本質を突いているからなのでしょう。経営手法や経営技術は様変わりでも、根幹をなす経営思想や経営哲学は変わらないものなのですね。早速、その四ヶ条に触れてみたいと思います。 
 
1条.「至誠を本とし」、至誠を持って事に当たれば、智力武力を持ってするより数倍効果があるとの教えです。「至誠を本とする」これを命がけの信念として、根気さえあれば、天下に必要な事業が成らないというはずがない、という全ての根本本質を突いたものです。
 
2条.「勤労を主とし」、勤勉努力、切磋琢磨、一歩一歩コツコツと「積小為大」の実践を薦めました。決して一攫千金は狙わず、大を成そうとすれば小さいことを疎かにすべきではないということです。
 
3条.「分度を体とし」、分度とは分限を守ること身の丈を弁えることです。倹約に通じるものです。身の丈を弁えずに過大な設備投資などをして経営を破綻に追い込んだ社長は多いものです。 
 
4条.「推譲を用とする」 富は自己一人の専有だと思うのは大いなる見当違いである人は誰一人として一人のみでは何事も成し得るものではない。人や社会の助力、支援を受けているもの。よって、社会のために助力しなければいけない。「道徳と経済の調和」が大切であると説いている通りです。
  
 
まとめとして、彼の経営理念を表すならば「以徳招利 (イトクショウリ)に集約できると思われます。その真意は徳を以って利を招く徳によって利を得る徳を先にして利を後にすると言うことになります。
 
わずか四文字で自分の信念と哲学・理念を示しています。彼の考えている商道の本意を示した熟語であります。この理念は現在の経営にも充分活用可能な思想でありますでしょう
 
最後になりますが、上の1条の至誠について補足をして終わりにしたいと思います。
 
「才知弁舌を尊ばず、ただを推し行うことを尊ぶ」と言っております。
 
これに関して私見をはさみながら意味を解説いたします。
 
才知弁舌や聡明才弁には、上には上があるもので、相対差の世界であり、変化するもので長くは続かないものである。技術やテクニックも同じで、現代でも日進月歩で、すぐ陳腐化し遅れをとる程スピードが速いもの。
 
それらに右往左往・翻弄されてはだめである。知識や技術やテクニックは常にとどまることが無く、ハイスピードで移り変わっていくものだ。それらはいくら追っても、あくまでも相対的二義的であり仮相なものに過ぎないのだ
 
  どこの学校を出ているか、どこの会社に勤めているかではない。最先端の技術を駆使できているから名を残す仕事が出来るのではない。どんな仕事であろうとも、自分の足もとを一隅を照らす思いで、誠心誠意努力する時に無言の光を発するようになる、と解釈して良いでしょう。
 
  それらの知識技術に翻弄されたら、世間も人も油断せぬし気が抜けないもので、当然、自分も油断が出来ずに気が抜けない。まことに骨の折れることであります。
 
尊徳自身は、実際には、才知と弁舌にかけても第一人者だったにもかかわらず、謙遜して自らを、「自分はもちろん才もなく、口をきくことも下手である。それ故に、ただで処して行くより他に道はない。その時その時の自己の精一杯を尽くし、真の誠で生きるのみです。至誠あるのみです」と本人も語っています。
 
は絶対のもので上を越すものはありませんから、常に心の中は安心立命で平らかであります。
「至誠絶対差の世界であり、至誠は神の如しです」と現代に生きる我々を諭しているのでしょう。 
 
 
 
 
★  お問合せ、ご意見、ご感想がございましたら、お気軽にメールでのお問合せをご利用下さいませ。
お待ち致しております。     
 
執筆担当者 山口一道 宛のメールアドレスは右記です。 mailto:yamacon@har.bbiq.jp
Home | Category : 経営学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2013/07/20(Sat)

(No.220) ワンマン経営からチーム経営への転換 (1/3)

経営手法の一つである、経営陣をいかに形成すれば良いのか?について考えていきたいと思います。
 
経営者すなわち経営を執り行う人を、絶対に一人としなくてはならないという法律はどこにもありません。ただ対外的には、最高経営責任者(CEO)や社長は一人でなくてはならないでしょう。                           

   また有事の際の最終的な結果責任は、ケースにもよりますが、トップ一人に帰せられるべきであるでしょう。しかしながら日々の経営を、他の人と分け持って担当したり、話し合いによって意思決定を行なったりすることは十分可能であります。
 
  現在の大手企業では社外重役や取締役が、ますます増加しているのが現状であります。法的な強制力はありませんが、その理由はワンマン社長一人の独断で全ての意思決定を行うことよりも、ずっと会社のためになるからであります。
 
  経営陣のスタイルを考えて見ましょう。例えば何があっても、社長の言う通りに動くイエスマンや、自分がコントロールし易く、扱いやすい人間だけで固めて役員幹部の椅子に座らせておくのは、社長やトップにとっては抵抗がないため経営上はやり易いでしょうが、将来から考えてみると決して得策とは言えないスタイルになるでしょう。
 
  敢えて厳しいことを言わせていただくなら、幹部や社員をトップの思う通りに動かし、トップの力を誇示し証明するのが経営の目的ではないからです。
 
本来は周りに異質な人を揃えて、ダイナミックな経営をした方が、グローバル化が進行中の現代企業においては判断力や適応力がより強化されるためであります。「ダイバーシティ経営」と呼ばれている考え方です
 
私としては、中堅中小企業においても、今後はこの様な経営スタイルに変革すべきだと考えております。進歩的な所においては、すでに活用なさっているところもあるでしょうし、将来的には時間の経過と共に徐々に普及していくことでしょう。
 
 経営の現状を冷静に考えてみても、むしろ自分よりも優秀な人間、時に苦言を呈してでも、会社全体のためを考えて発言し、行動してくれる人間と共に前向きに意見を戦わせて仕事をすすめ、意志決定をして、会社のために「成果をあげること」がトップの役割であり、また経営の目的であります。
 
 「成果をあげること」を主眼に置くとき、自ずから答えは出るはずであります。できうる限り「優秀な人間の強み」を生かした仕事をさせる、このことが最優先されるべきであります。
                           
 我が国の過去の成功事例を眺めてみますと、有名なところでは、「ソニーの井深大氏と盛田昭夫氏」、「ホンダの本田宗一郎氏と藤沢武夫氏」などがあります。現在、日本を代表する企業の多くが急成長した時期は、「チームで経営」にあたっていたことがわかります。
 
森永製菓は、創業者の森永太一郎氏が、1899年にわずか2坪の工場で西洋菓子をつくり始め、当初は大変な苦労をされましたが、創業6年後に10歳年下の松崎半三郎氏というパートナーを得て事業は飛躍的に拡大しました
 
また、トヨタも戦後、過剰な設備や人員を抱えて経営危機に陥った時、その時の番頭格だった石田退三氏と神谷正太郎氏が、販売と製造を分担し、銀行からの融資を取り付けました             
神谷氏は「売る方は引き受けるから、いくらでも造れ」といって業績を上げ、国際企業に飛躍する過渡期のトヨタを作り上げました。2008年ついに、世界のGMを抜きついに世界のトップに上り詰めています。
 
 松下電器も松下幸之助氏は、9歳年下の中途採用社員の高橋荒太郎氏に経理改革をすべて任せています。その後、高橋氏は社内固めの大番頭としての役割を全うし、工場進出、海外戦略でも、経営実務面で活躍し、世界ブランドの電機メーカーに導いたのです。現在はご承知の通りパナソニックに社名とブランドを統一しています。
 
  創業は大正7年西暦1918年、幸之助氏23歳の時であります。家内工業で社員3名でソケット製作が中心でした。以来約90数年間存続している企業であり、さすがに創業者の彼は「経営の神様」と言われた人であり、我々が学ぶべきことが簡単に学びきれないほど沢山残っています。
 
味の素も二代目社長の鈴木三郎助氏のもと、弟の忠治氏(後の昭和電工社長)が製造三郎氏が宣伝・販売を受け持って飛躍的に成長しました
 
キャノンも当初、産婦人科の医師だった御手洗毅社長は、自らを技術も経理もわからない「経営の素人」と公言し、技術者の川口宏氏ら若手人材の考えを取り入れ、彼らに責任を与えて経営して行きました。
 
また、新しいところでは、リクルートやビデオレンタルのカルチャーコンビニエンスクラブ(TSUTAYA)なども創業当初から「経営チーム」で経営にあたっていて大きく成長した企業であります。
 
これらの事例は各社の宣伝に聞こえたかも知れませんが、そうではありません。有名企業の生い立ちと経営手法を知ることで、我々中小企業の経営に携わる者として、今後如何に参考にすべきかと言う点で受け止めたいものであります。
 
(次回に続きます)
Home | Category : 経営学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
2013/07/27(Sat)

(No.221) ワンマン経営からチーム経営への転換 (2/3)

一人によるワンマン経営からチームによる経営を実践しているのは、日本だけではありません。
 
むしろ「チーム経営」が盛んなのは、アメリカの諸企業であります。アメリカの大手企業であるGE、デュポン、シアーズ、ATT、ゼネラルフーズ、GM、フォードなど、列挙すればきりがありませんが、成長した企業はほとんどと言っていいほど、「経営チーム」で経営をして成長発展させて来たのです
 
 典型的な例では、米国のテキサス・インスツルメントは、CEOと副会長二人の計三人で構成する「最高経営オフィス」があり、三人は対等な立場で、全社の戦略を話し合っているとのことです。
 
現在、成長中のスターバックスもシアトルでの創業当初から、「経営チーム」が存在しています
しかも、あらゆる角度から検証された戦略で経営を行うため、「多様性」(ダイバーシティ)ということを重要視し、全く異色の人材を必ず「経営チーム」に迎え入れることを条件に課しています
 
先ほども少し触れましたが、日本企業も遅まきながら、この考えを取り入れる企業が増えている様です。やはりビジネス面においては米国が一歩も二歩も先を走っているのがよく実感できます。現実の我が国は一歩二歩どころか、一周も二周も遅れて走っている様なものです。
 
  グローバル経済 グローバル対応経営の時代にすでに入っていますが、米国の方がずいぶん先を走っていて、我が国企業は今からが準備段階の様な印象があります。
 
  米国はやはり国民性や複数の人種の集合の国であるためでしょうか、自由主義尊重の国であるが故に競争も遙かに厳しい米国だからこそ、の結果だと考えられます。
 
 それに比べて我が国を眺めてみますと、多くの人種を経営陣に迎え入れるということが困難な日本においては、せめて同年代で同じ畑出身の同質の男性だけで、「経営チーム」を固めないでいただきたいと思います。「多様性」「ダイバーシティ」という考え方をどうか意識して経営に当たられることを提言したいと思います
 
私達の会社は内需だけをマーケットにしているので、グローバル経済などは関係がないさ、などとお思いの経営者もおられるでしょうが、国内だけの内需だけを対象にしている中小企業でさえも、近い将来生き残れるか否か?の時代が足下まで近づいている兆しが感じられる今日この頃です。
 
「井戸のかわず大海を知らず」の例えが当てはまります。超高齢化社会と人口減少時代、つまり市場縮小時代の到来をはじめ、産業構造・業種・業態の変化が激しい時代に入っています。私達だけがその変化の影響を受けないはずはないのです。
 
経営は準備である」とも申します。気づいた時はもうすでに手遅れになっているかも知れません。
心の準備として、意識だけは常に心に置いて経営をなさって下さい。
 
  今後の新しい経営手法は多様性ダイバーシティ導入をと言っても、もちろん、どういった場合でも、決定的に個人の力量と強みを選択基準に置いた人事でなくてはならないのは言うまでもありません。
 
ではその経営チームをつくるのはいつ頃が適正なのかというテーマで考えて見たいと思います。
 
 一般の大多数の経営者の方々は、いずれ「チーム経営」に持って行きたいのは、やまやまだが、そうした人材はなかなか見つかるものではない、と言われる方も多いでしょう。が決してそんなことはありません。思わないから実現しないだけなのです
 
またその効果の時期は?と言う点に関して故PFドラッカー(2005年95歳没、経営学の父と言われる)は「経営チーム」がチームとして機能するには3年くらいはかかると述べています。即効を望まれるでしょうが、半年や一年そこらで効果を期待は出来そうもありません。
 
ちなみにドラッカー真に成果を上げるためには、意見の一致ではなく不一致を生み出さなければならないと言っています。この言葉の真意は、同質より異質の考えを尊重した多様性ダイバーシティの経営を意識した言葉であるでしょう。
 
長年、ワンマンな経営をしてきて、もう一人だけではどうにもならない、以前のような気力も体力もなくなってしまった、というような行き詰まりを感じたとしても、突然「チーム経営」に切り替えられるわけではないのです。
 
(次回に続きます)
Home | Category : 経営学 |  コメントアイコン Comment0  |  Trackback
Home Home | Top Top