2015/04/04(Sat)
(No.309) 固定観念を打破し新価値観へ変革させよ (2/4)
【3】【従来の価値観である】知識一辺倒・知識至上主義・金銭至上主義であり、欧米風・欧米主義に染まり過ぎてきました。アメリカのスタイルを日本にそのまま持ち込めば成功する、お金や知識で人間は動かせるという誤った価値観が蔓延してしまいました。
しかし、日本人は本来金銭的なインセンティブ刺激だけで動く国民ではありません。この点は世界に誇るべき思想だったのです。しかし現代はその良さが無くなってしまった様な気が致します。
知識一辺倒・知識至上主義から見識・胆識重視主義へ転換させましょう。(見識胆識については、当経営コラムNo41をご参照下さい)戦後、知識さえ詰め込めば、将来幸福になれるという幻想が学歴主義・成績至上主義を蔓延させました。戦後教育行政の失政になるでしょう。70年経った結果は無惨であります。徳性教育を廃止し、人間の精神形成を軽視したからでしょう。
1945年(昭和20年)の敗戦終戦後、経済復興を優先したため、時務学(その時代に必要な知識や技術)中心の教育は、仕方のない面もあったのでしょうが・・・。人間の精神強化主義が見捨てられてしまったのです。最近の文部科学省の発表では学習内容や入学試験の制度を数年かけて改定していくと有りましたが、少しずつ改善変化の気配が感じられます。
【4】【従来の価値観である】「経営学」(末学・時務学)重視・尊重主義と前述の知識技術テクニック資格の追求のみで、成功すると信じられてきました。知識という、横のベクトルの工夫のみで、経営学中心主義では行き詰まってしまいます。これだけでは「経営理念」や経営姿勢・経営哲学の確立は無理であります。経営の根幹が固まらないからです。
また知識技術資格はすべて人生や仕事の道具に過ぎないのです。いかに立派な道具を揃えていても、使う本人が人間として立派でないと絶対にいい仕事はできないからです。
従って「経営学」重視主義から「人間学」(本学)重視主義へ転換することです。縦のベクトルの工夫になり、自己を深める、根を深く深く掘り下げることが必要です。その結果、自然の樹木と同じ様に自然に上に上にと伸びていきます。人間観・人生観・世界観・死生観・経営観・経営哲学の確立につながって行きます。「経営理念」に到達できるのです。人間の学問として経営に取り組むことです。
「どこまでもまず、人間をつくれ、それから後が経営であり事業である」と箴言が残されています。社長である前に、一人の人間であることを忘れないことです。社長に就いたら忘れてしまうのでしょうか?人間学・人間力という基本の部ができますと、自然に仕事力もつき、その上にある経営力も向上するようになっているのです。順番を間違うと逆三角形の形になり常に不安定な状態が続きます。「経営学と人間学は車の両輪」であり、どちらかに偏ると前には一歩も前進できないのです。時間を掛けてでもバランスよく力を付けることが必要なのです。
【5】【従来の価値観である】「財」(数値)(末学)中心主義。数値は瞬間的で永続を保障しないものであり、常に変化するものです。その結果、売上第一主義・利益第一主義になります。経営手法が、競争の強化・勝負勝敗主義に陥り、何かと常に比較する“相対差の世界”に陥ってしまいました。
従って「徳」(人間性)(本学)中心主義への転換をすることです。「徳」は永続を保障するものです。基本部であり土台ですから、根が深まれば樹木と同じで自然に上に上にと成長でき伸びて行くもので、又、横にも拡がっていくのです。「徳は事業の基(モト)なり」(菜根譚)と徳の重要性が教えられています。
ビジネスや日常生活でも、周りの人びとは、数字を見る前に人間性を見て、付き合うか否かを決めているのです。「徳は孤ならず、必ず隣あり」(論語)とあり、徳が有れば必ず良い人材が集まってくるし、すべて上手く通るのですと教えています。
要は「徳」の上で「才」を運用することが大切なのです。「徳」の上で「才」を運用しないと、何事も役に立たないということです。「徳」という基本ができていないと、人間関係もうまくいきません。仕事も成功しません。事業経営も成功しないものです。歴史が教えています。才能の「才」は“わずかに”の意味があります。「徳」を合わせて初めて、そのわずかな「才」も生きるということなのです。「才」とは各種の「才能」のことを言います。「財」とは、お金を生み出す才能のことを意味しています。
人を大切に、人の心を大切に、弱者を大切に、自然との共生、地球を大切に、地球温暖化対策・対応の経営が求められています。地球が傷んでいます。何かと比較しない“絶対差の世界”に価値を見出して競うことです。
(次回に続きます)
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