2015/07/04(Sat)
(No.322) 真の人望を身につけよ 「人を動かす真の力とは何か」 (2/2)
それでは、社員、お客様、家族…すべてに愛され、信頼され、応援される「人望」とは何なのでしょうか? 「人望 」とは目に見えない無形のもので、手で触れることもできません。しかし経営者やトップリーダーなど人の上に立つ者にとっては無くてはならないもの、それが「人望」になります。
一般的に稼ぐセンスがあり、金儲けの上手い「できる」経営者ほど「人望と事業の成功は関係ない。人望だけでビジネスはできない」という大きな誤解をしておられる方が多いものです。
確かに、優秀な他人や他の企業との競争原理でつかみ取る社会的成功 には、キレイゴトでは済まされない厳しさが必要になります。時には非情な決断で、誰かに犠牲を強いることもあれば、高い目標を掲げて、それを達成するために妥協は許さないという気迫で、社員を追い詰めなければならないこともあるでしょう。
それができない経営者というのは、結局、自らの甘さとお人好しの結果で会社を潰し、多くの人に迷惑をかけることになります。だから、この様なお人好しで薄っぺらな優しさを「人望 」と勘違いしないで頂きたいと思います。
ここで言う人望 とは、単なる優しさではありません。そもそも優しさには「稼ぐという責任を持つ優しさ」と「稼ぐという責任を持たない優しさ」の2種類があります。人望は前者の「稼ぐという責任を持つ優しさ」のことになります。人望と似た言葉に人気がありますが「人気とは責任のない人望」といえると思います。当然ですが経営者に必要なのは「責任のある人望」になります。一般の人の人望とは全く違うものになります。
言うまでもなく、ここでいう責任とは社会的責任 のことを言います。成功すると、お客様や取引先や社員とその家族、金融機関や株主、はたまた究極はお金に対する責任などが発生します。だから順調に成長発展し成功すればするほど、大きな社会的責任が待っているのです。よって社長がその責任を感じ、これに応えていく人にこそ、多くの人々が「この人のためなら」「この人についていこう」と社長の夢やビジョンの実現の協力者となって動いてくれるものなのです。
これが、人望 のある経営者がもつ真の「優しさ」であり、人望のある経営者がどんなに厳しく接しても、決して人が離れていかないばかりか、喜んでついていくのも、本能的に厳しさの裏にある優しさや責任感を相手が感じ取るからなのです。
「人を思いのままに動かす人望 」とは、決して小手先の心理テクニックで他人を操る手法ではありません。他人に愛され、信頼され、応援される人間力を磨き、そしてその人間力という人間的魅力によってまわりを感化し、ともに成功へと向かうためのモチベーション(動機付け)コントロールのことを言うのです。いくら古典や人間学や道徳を勉強して人望の重要性を頭で理解しても、残念ながら簡単に身につくものではありません。
尊敬される人間になりたいのに、いつも人を責めて他責 にしてしまう。口では「自分が成功できたのはまわりの皆さんのお陰」と言っていても、本音の部分では「自分が優秀だから成功できた」「まわりはバカだ」と見下し、支配することに喜びを感じてしまうものです。
なぜなら、人間にとって最も強い欲求の一つに「承認欲求 」というのがあるからなのです。社会的な動物である私たちにとって、他人に認められることは大きな喜びであり、誰でも心の中に「認められたい」「勝ちたい」という「優勢勝他の本能」という根源的な欲求をもっているからです。
そしてこの承認欲求は、経営者のように自分に自信があり、仕事能力の高い人ほど強く、これを原動力に成功してきた人が多いのも事実であります。だから、放っておいたら成功するほどにエゴ(自我)はどんどん肥大化していくものなのです。
また経営者が人望を発揮できない理由として、深刻なのは成功しているが故の「驕り」であります。厳しいことを言えばバリバリと稼ぐ「できる」経営者ほど、人望などなくても自分は成功できると図に乗っている方が少なくありません。
しかしご心配は無用です。脳のメカニズムを利用すれば、人間が本能的にもつエゴ(自我)や、意のままにならないマイナスの心を簡単に変えることができるのです。というのも、人間というのは脳の90%以上を占める潜在意識 にインプットされた「条件付け」によって行動するからです。
成功する人の潜在意識には「成功」が条件付けられているし、もし万が一、失敗が条件付けられていれば、どんなに努力しても成功できないのです。したがって、心と行動を支配する潜在意識に「人望の経営者」と同じ様な条件付けを施せば、否応なく人望が身についてしまうというわけです。いかに潜在意識の状態を変更するか、更改するか、大掃除するかが決定的に重要であるということになります。
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