2015/09/05(Sat)
(No.331) 「知行合一」の教えに学び実践を (1/2)
経営や仕事の現場では、実践や行動が求められるため、いかに実行力や発揮することが大切であるかと言われ、非常に重視されています。学校現場とはまるっきり求められるものが違っています。古い言葉を使えば“知行合一”(チコウゴウイツ)という考え方になります。本経営コラムでも今まで何回かにわたって知行合一については触れてまいりましたが、改めて考えてみたいと思います。
知行合一とは「本当に知るとは、必ず実践実行が伴うものである」ということを意味した陽明学の教えになります。また「いかに、実践行動が難しいものであるか」を示唆している言葉でもあります。実践を伴わない空理空論や単なる美談は一切価値を認めないとの思想になるでしょう。
ここで東洋思想全般について、少し振り返りをしておきたいと思います。東洋で代表的な仏教思想は「行ないの哲学」、「行動の哲学」であり「知行合一の哲学」と同じことを説いています。この様に仏教や儒教や陽明学などの東洋思想や哲学は、根本は同じであることが挙げられると思います。
さらに東洋思想の大きな特徴としては、欧米思想では頭の中で考えたことと、行ないが一致していると考えますが、東洋ではその様には考えていません。「頭の中で考えを起こすのと、実際に手と足を動かして実行するのとは違う」という見方をします。それは、我々にとっては救いであります。
なぜかというと、頭の中で悪いことを考えただけで悪いことをしたことと同じとなったら、人間にとって逃げ場がなくなってしまいます。そうではなく、東洋は人間が実際に体を動かしてやるか、やらないかの行動を重視しているのです。
逆に考えれば、我々にとっては厳しくなりますが、善い行ないについても同じであります。善いことをいくら頭の中で考えても、口先だけで実際にやらなければ、評価は一切致しません。「有言不実行」は認めないのです。まさに東洋思想哲学が「行ない・行動の哲学」であるかの所以(ユエン)になります。
そもそも経営というものは、「行動実践科学」であると言われます。頭の中を知識や理論でいかに武装していても、実践し行動が伴っていないと結果も出ないし、一歩も前へ進まないということです。小さな失敗は誰もが体験します。その体験を次に活かし二度と失敗しないようにするのが経営です。つまり経営は「体験科学」でもあるのです。
東洋で昔から行われている人物鑑定法では「聴けばその行う所を観る」との教えがあり、もしその人物が善いことを聞いたならば、それを実行するかどうかを観るようにしなさいとあります。「知行合一」するか、あるいは反しているかを観て人物を鑑定せよと言っています。
日頃、何でも実行するとなると、なかなか難しいものです。反復になりますが、本当に知るとは実践を伴うことを言います。よって実践を伴わないのは本当に知っているとは言い難いのです。知識だけを頭に詰め込んで、頭でっかちになっても実践が伴っていないと認めない評価はしないという態度のことです。
口だけは達者で良く弁は立つのだが、実践が一向に見えない口先だけの「有言不実行」型の人はダメだということになります。「言うは易く、行いは難し」とは、ほんとによく言ったものですね。
口だけは達者で良く弁は立つのだが、実践が一向に見えない口先だけの「有言不実行」型の人はダメだということになります。「言うは易く、行いは難し」とは、ほんとによく言ったものですね。
(次回に続きます)
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