2015/10/17(Sat)
(No.337) 安全と安心 信用と信頼はどう違うのか? (3/3)
「安全・安心」と同様、「信用・信頼」も一緒に使うことが多いものです。しかし、現実は、使い分けをしている時もあります。例えば「信用金庫」はあっても「信頼金庫」はありません。「信頼関係」とは言いますが「信用関係」とは言いませんよね。
また「信用取引」とは言いますが「信頼取引」とは言わない様です。この様に現実は、「信用」と「信頼」はごちゃごちゃになって使われている様です。
「信頼」してもらうためにはまず「信用」が必要であり、「信用」なしに「信頼」を勝ち取れないことはよく理解できます。「あの人は、これまでの行動から『信用』できるため、この仕事も『信頼』して任せられるのだ」ということになるでしょう。
話は飛びますが、弁護士や会計士などの有資格者は、それだけで信用があると思われています。弁護士や会計士などの資格があれば、一応は「信用」してくれるのかもしれません。どこの誰べえなのか得体の知れない人よりは、身元がはっきりとしているからでしょう。しかし、「信用」はされても「信頼」されるとは限らないのです。
「信頼」には信頼関係と言われるように、人間関係が必要になってきます。前述した様に信用関係とは言いません。専門家は、初対面でも「私のことを信頼してください」と顧客に言うことがありますが、信頼は頼んでしてもらうものではありません。人間関係の中で芽生えてくるものが信頼なのです。
このためトラブルが絶えないのも事実です。資格者だからと言って、信用できるとは限らないからです。そんな資格者も世の中にはおられる様です。詳細は省かせていただきますが・・・。
お金のトラブルは今も昔も相変わらずであり、減少していない様です。もしあなたが人にお金を貸す場合、どちらの言葉を使うでしょうか?「貴方を信用してお金を貸します」もしくは「貴方を信頼してお金を貸します」さぁ、果たしてどちらでしょうか?
「安全」と「信用」は何か物理的な、しかも客観的な根拠があるものです。それに対して「安心」と「信頼」は主観的で精神的なものです。だから、「安心と信頼」は人によっては異なるものなのです。
では、もう一度「貴方を信用してお金を貸します」と「貴方を信頼してお金を貸します」を考えてみましょう。相手の調査もせず、勝手に相手を信頼して仕事を任せてみたり、お金を貸すなどしますと必ずトラブルが発生するでしょう。だから、人は過去の実績などを聞くことを行うでしょう。
学歴もそうです。学歴社会ではなくなったと言われていますが、本当にそうなのでしょうか。弁護士や会計士は必ず、出身大学を聞かれるそうです。資格を取得しても完全な学歴社会なのです。聞くところによりますと、会計士以上に弁護士はその傾向があるとのことです。真意は不明です。
ちなみに同じ専門家でも、医師や税理士はあまり学歴の話はないような気がします。有資格者の世界では、今も、学歴は立派な信用材料のひとつを占めているということなのでしょう。依頼人やお客様は、それらを聞き出すことで「安心と信頼」を得ようとしているからなのでしょう。
ところで、金融機関がお金を貸す場合、借り手に対して信用という言葉を使うでしょう。そして、返済が滞った場合などは、「このままでは御社との信頼関係が・・・」と金融機関は話しをするでしょう。
信用するために、会社の決算書・直近の試算表そして資金繰り表などを入手し、社長の資産状況も調査します。すべて客観的な情報になります。
もちろん貸し手は、この情報を鵜呑みにはしません。独自の方法で修正を加えていきます。こうして「信用」できるかどうかを、客観的に検証しているのです。そして、貸す時は「信用」するから貸し、貸した後はそこに人間関係ができるため、「信頼」という言葉を使うのです。
もし返済が滞ったりした場合には、銀行から「このままではお互いの信頼関係がなくなります」と言われることがあります。ここで、借り手は不安になるものです。せっかくこれまで築いてきた信頼関係がなくなってしまっては困ると。でも、少し立ち止まって冷静に考えて見て下さい。
本当に信頼しているのであれば、保証人も担保も取らないでしょう。しかし、現実はそうではありません。ということは、本当は信頼なんかされていないのです。また、そのように考えていた方が気が楽なのです。気が楽になれば、脅しともとれる「信頼関係がなくなる」という言葉も聞き流すことができることでしょう。
本当に信頼しているのであれば、保証人も担保も取らないでしょう。しかし、現実はそうではありません。ということは、本当は信頼なんかされていないのです。また、そのように考えていた方が気が楽なのです。気が楽になれば、脅しともとれる「信頼関係がなくなる」という言葉も聞き流すことができることでしょう。
貸し手と借り手が、友人・知人の場合は、すでに人間関係があり互いに信用しているため、信頼を使うことが多いでしょう。ただ、あまり深く考えるとわけが分からなくなっていきます。だから、実際は、曖昧にして「信用・信頼」の四文字を使うことが多いのかも知れませんね。
言葉はとても難しいものです。だから話す前に、息を静かにゆっくりと吐き、ひと呼吸おいてから話をするといいと言われているようですね。最後に「信(信用・信頼)は商売の原点である」「企業の最大の宝は社会的信用である」この2つの言葉の真義を今一度かみ締めたいと思います。
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