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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2018/03/03(Sat)

(No.458)新たなチームなくして新たなビジネスモデルなし (1/2)

日ごろ経営者から「人材がいない、人が足りない」という声を聞きますが本当にそうなのでしょうか?実は知識・技術を備えて仕事力という高い能力を持った人材は、すぐそばにいるのではないでしょうか。社内にいる人材の長所に気づいていないだけではないでしょうか。

 

顧客にとっての価値を高めるために、社員の強みや長所を探してつなぐことがチーム力の出発点になります。その新たなチームをつくっていないだけなのです。事業経営をこのまま続けるのであれば、永続企業を目指して、新たなチームをつくり、チームに投資し、チームに磨きをかけて、新たなビジネスモデルやブランドを築いていきましょう。「永続企業・永続経営」に向け、自由闊達に活躍する新たなチームデザインこそが、今後の生産性の源泉となってゆくはずであります。

 

【「チーム力」で生産性を改革するには】

 

データによれば、国内企業382万社(2016年1月発表、中小企業庁)のうち100年以上続いている企業は3万3069社(2016年12月、全国老舗企業調査)と全体の0.87%にすぎません。1%もありません。長期間にわたって会社を継続させることが、いかに険しくて難しい道であるのかが良く分かります。

 

では、企業が生き残っていくには何が必要なのでしょうか?ある調査によりますと、会社が最も成長したのは創業者の時代であり、代を重ねるにつれて成長率が鈍化していくとの結果が明らかになりました。時間の経過とともにベンチャースピリットや創業の精神が薄れてしまうのは致し方ないことでしょうが、企業が生き残るには新しいビジネスモデルやブランドの創造が不可欠と言うことなのです。これらを生み出し続けるためには組織づくり、つまり新たな「チーム力」が必要になるということなのです

 

チーム力」に注目する理由は他にもあります。今、皆さんご承知の様に、国内の人材と人手不足が深刻な状態になっています。総務省「国勢調査」によりますと、2015年の生産年齢人口(15歳~64歳)は7728万人。それが15年後の2030年には約850万人が減少して、6875万人になると予測(2017年推計、人口問題研究所)されております。その様な視点により、企業にとっては生産性の向上がますます重要になってゆくのです。そのために今後の新たなチーム力に期待がかかってゆくのであります。

 

この様に将来を見通しますと、日本全体の人口の減少と、生産年齢人口の減少と、少子化高齢化の進展によって多死社会(年間130万人超)の到来というのがキーワードになっていると思います。

 

ところが日本の労働生産性は、OECD(経済協力開発機構)加盟35カ国中22位(2016年12月、日本生産性本部)と、ギリシャよりも低いのが現実です。さらに、米国の調査機関が発表しました「働きがいのある会社ランキング」(グローバル企業)を見ますと、残念なことに上位25位以内に日本企業は一社も入っていませんでした。

 

このように悲しいことに、なんと見る影もないほど、衰退を呈しているのが我が国の企業の実態であります。私は「このままでは、日本は沈没する」と長い間リーダーのあり方に警鐘を鳴らしてきましたが、いよいよ現実味を帯びて来たのではと、さらに危機意識を強くしております。

 

(次回に続きます)

 

 

 

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・人間学  ・経営学  ・経営戦略  ・人材育成  ・組織運営 

 

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2018/03/10(Sat)

(No.459)新たなチームなくして新たなビジネスモデルなし (2/2)

社員全員の働きがいは、今後の生産性アップの鍵となります。生産性の指標として「1人当たり経常利益、月間20万円、年間では240万円」を提唱して参りましたが、その高い生産性を実現するには、働きがいの向上と、働き方の改革が必要になります

 

国は働き方改革の推進に力を入れていますが、企業も真剣に取り組むべき時期を迎えていると言っても良いと思います。当然ながら中小企業も含めて国内企業全体に改革が求められているのです。「我が社だけが無関心」ではどうも許されない様な雰囲気を感じております。常識や過去にこだわらずに、思い切った改革を推進して頂きたいと思います。

 

また、「チーム力のキーワードとなるのが「全員活躍」になるでしょう。これを実現するには日本企業の組織構造という根本的な問題と向き合わねばならないでしょう。成長を続ける企業はこの点に真正面から取り組んでいます。従来の常識や固定観念にはこだわらない考え方を取り入れて、企業の組織デザインが根本から変わり始めているのです。一種の驚きであります。

 

顧客のために部門や階層の壁を越えて1つになる。これが理想の「チーム」でしょう。日本の組織の多くは機能別の縦割り構造であり、硬直化しています。この点が根本的な問題と言っても良いでしょう。全ての機能が一体となって顧客へ向かっていく組織デザインが必要になっているのです

 

この様にチームの力を発揮して、自由闊達に商品開発や新市場開発のイノベーションをする新しい組織と、チーム力が必要とされているのです。そのチーム力次第では、1+ が3や4や5にもなってゆくのです。頼もしい限りであります。何も難しく考える必要は一切ありません。

 

新しいビジネスモデルは、理念から生まれる戦略である

 

では、そもそも企業における「チームとは何でしょうか?それは「理念と使命を共有し、顧客にとっての価値を高める、継続的な全員活動の単位」と定義しても良いと思います。キーワードは「理念の共有」「顧客価値」「全員の活躍」になるでしょう。

 

ある時、新入社員の方々と話しをしている時に「おや、私はトップと話しをしている様だ」と感じたことがありました。トップと新入社員の話す内容が一致しているということは、経営理念やビジョンが組織全体に浸透していることの表れだと思いました。とは言うものの、経営理念の浸透はそんなに簡単ではないと思っています。朝礼などで全員で唱和しているだけでは組織全体に浸透することは難しいものなのです。

 

具体的に経営理念を徹底するためには、自社の経営トップ陣の考え方をまとめた「経営理念ブック」などを作成して活用するのが有効だと思っています。創業の精神や背景を含めたストーリーとして伝えることで、経営理念の理解は深まってゆくと思います。さらに社員同士が経営理念ブックなどを基に語り合い、確認し合って日々の業務で実践してゆく。この様な繰り返しの中で経営理念は徐々に浸透していくと言うわけです。難しいことではありません。

 

また、真に成功する戦略とは、その理念から生まれたものになります。「戦略は理念に従う」とも言われています。従って、理念が組織やチームに浸透すれば、全社員の発想や活動そのものが戦略につながっていくことになります。おのずと、顧客のために働くことがチームの目的となってゆくのです。

 

その結果、従来では考えられなかった、新しいビジネスモデルを創造することも可能になってゆくと思います。時系列でまとめますと、スタートは経営理念をベースにして、経営戦略の構築立案を経て、新ビジネスモデルへと良循環してゆくものです。永続企業を目指してのサイクルが順調に回り始めてゆくのです。

 

良循環させるか否かは、全てはトップリーダーや社長の意識と考え方と経営姿勢次第であるということになります。活学、実践を期待します。

 

 

 

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2018/03/16(Fri)

(No.460)中小企業の大廃業時代到来にどう備えれば良いか? (1/2)

今まで、我が国の産業競争力を支えてきました、中小企業群が存続の危機に瀕している様であります。結論を先に申しますと、事業を引き継ぐ後継者が不足しているからとのことであります

  経済産業省のデータによりますと、日本の企業の
全体数421万社のうち、中小企業の比率は99.7%、従業者の数でも7割を占めているとのことであります。要するに我が国は、会社の数や人間の数で見ますと、ほとんどが中小企業で成り立っている国であります。

 

現状を認識するために数値データを振り返っておきたいと思います。東京商工リサーチの調べでは、2017年の全国の中小企業の休業・廃業数は約2万8千件であり、10年前の2007年には2万1千件だったとのことで大幅に増加していることになります。比率では33.3%も増加しています。企業の倒産件数は景気回復で年々減少しているため、人口減少やその他の要因で休廃業の流れが強まっていると考えて良いのかも知れません。

 

この様な状況で、後継者不足をそのまま放置したとすると、あと7年後の2025年までに、650万人の雇用と、約22兆円程度の国内総生産(GDP)が失われる恐れがあるとのことであります。経済産業省の予測によりますと、全体数421万社の3割に当たります、約127万社で後継者が不在の状態になる見通しとのことです。驚きの数字であります。

 

少子高齢化の時代での、人口の予測については、「2025年問題」と称して、私を含めた団塊世代の人たちが、全て75歳を超えてしまう年と言われていますので、「後継者不在の問題」と共通したテーマだと考えて良いかと思います。

 

また、今後10年間で70歳を超える経営者が全中小企業の6割以上である約245万人となり、アンケートによりますと先述の通りで、約127万社で後継者が未定であるとの結果だったとのことです。

 

同省によりますと、大廃業時代が目の前に迫っており、向こう10年間が正念場であるとのことであります。黒字ながら会社をたたむケースも多いとのことで、忍び寄る「大廃業時代」到来を乗り切って技術やノウハウを次代へとつなぐ手当はあるのでしょうか?気になるところであります。「他社のことだ、よその会社の出来ごとだ」と捉えるのではなく、自社でも真剣に検討すべきテーマかも知れませんね。

 

中小企業が廃業しても、都市圏では代わりの産業が興って新陳代謝が進むでしょうが、地方では難しいかも知れません。職が失われると若者が都会に出てゆき、地方経済がさらに疲弊するという負の連鎖が加速するかも知れません。地域間の格差を縮めるという観点からも、事業承継は全国的な喫緊の経営課題であると考えて良いと思います。

 

ところで高齢になった中小企業の経営者は、いまだに家と事業を同一視しておられ、子供達が事業や会社を引き継いでくれるものと暗に期待しているのではないでしょうか?だが子供達の若い世代は、家業を引き継ぐという意識が乏しいのではないでしょうか。この様に漠然とした親の期待から、事業承継の準備が遅れてしまう事例が多い様です。経営者はこの様な甘い意識を捨てて現実をもっと直視するべきではないでしょうか?

 

ここで少し視点を変えまして、参考のために、農業に従事されている方々の、農業人口にも触れておきたいと思います。ほとんどが法人ではなくて個人事業の形だと思います。

 

農業も一般中小企業と同じく大廃業時代到来と言われております。日本の農業人口はここ10年だけで4割も減少して181万人になったとのことです。また、農家の43%は70歳以上の年齢であり、体力の限界を迎えて次々と離農者が増えているとのことです。

 

食料自給率が38%で世界の先進国でも最低のレベルにあるとのことです。危機的水準であるとも言われております。このまま生産者が減れば、更に危うくなってゆくのが農業そのものと、農業人口であります。今、野菜の値段で高値が続いていますが、この現象は日本の食料生産への警鐘であるのかも知れませんね。食糧危機が刻一刻と我が国に迫りつつあるのではないでしょうか?

 

(次回に続きます)

 

 

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2018/03/23(Fri)

(No.461)中小企業の大廃業時代到来にどう備えれば良いか? (2/2)

もし親族が引き継がない場合はMA(合併・買収)を活用するのも事業承継の一つの案にはなるでしょう。MA(合併・買収)では利益をあげているうちに事業を譲渡することが重要になります。赤字も1年ならまだ許せますが2年3年と赤字が続いて、売上高やキャッシュフロー(現金収支)が減り始めると、MAは難しくなるでしょう。「どうしようもなくなったら、考えるよ」と話される経営者もおられますが、それでは手遅れになるようですから注意が必要になると思います。

 

いずれにしても、注意しなければならないのは、事業承継はすぐにはできないということです。過去のデータによりますと、MAでは相手を見つけるのに平均で2年、さらに実際にバトンを渡すまでに最低1年は必要になるとのことです。身内に引き継ぐ場合でも時間はかかるものと思って下さい。

 

トップは引退の時期を自分で決めるものですが、その引退時期の3年ほど前から準備を始めないと間に合わなくなる可能性が高いことも覚えておいて下さい。事業承継に伴う贈与税、相続税の納税猶予とか事業承継税制に関しても政府が真剣に本気で検討を進めている様であります。政策やアイディアを総動員して中小企業の廃業を防いで頂きたい、中小企業を守って頂きたいと念じております。事業承継支援の拡充をどんどん進めて頂きたいと思います。

 

ところで、事業譲渡には他社への譲渡 (MA)と、起業を志す個人への譲渡の2種類があります。いずれも難しいとなれば、残念ですが廃業や休業になると思います。本コラムの主題の大廃業時代の到来に一歩近づくことになると思われます。

 

では次に、足元である「長崎県内の休廃業と解散の状況について」触れておきたいと思います。東京商工リサーチの調査によりますと、2017年に休廃業・解散をした長崎県内の企業件数は220件と前年比でほぼ横ばいとのことです。経営者の高齢化や後継者の不足、人口減少に伴う市場規模の縮小を要因に挙げており、今後も発生件数は年間で200件台で推移しそうだと予測しています。

 

もし予測通りに推移するとして、手をこまねいて政治面・経済面・経営面で有効な手当てをしないとなると、今後の10年で約2000件近くが休廃業に追い込まれるため社会的、経済的に大きな影響が想定できます。これでは、長崎県内が元気どころか病気になってしまうでしょう。今でも「あまり元気がない」と思っているのに大変困ったものであります。早い対応が望まれるのは言うまでもありません。

 

休廃業や解散は、法的整理や私的整理を伴う倒産とは異なりますが、事業を停止することになります。2017年は倒産件数が31件で低水準だったのと比べますと、休廃業・解散件数はその約7倍の220件であり、反復になりますが、県内経済の厳しい一面をうかがうことができます

 

業種別で見ると建設業、サービス業、小売業の順に多かったとのことです。個人企業が最も多く毎年増加傾向であり、次に法人がくるとのことです。代表者の年代別では60歳以上が90.4%を占めているとのことです。

 

ちなみに九州・沖縄8県全体の休廃業の発生件数については、前年比13.6%の減少で2743件であったとのことで、倒産件数の4.8倍だったとのことです。長崎県が約7倍だったのに対して九州全体で4.8倍ということは、いかに長崎県が高いかということでもあります。長崎県経済の厳しい一面を示していると考えて良いと思います。

 

産学官が連携して、まとまって知恵を出し行動することが、今こそ求められているのではないかと思っています。もちろん中小企業の経営者をはじめとして、我々経営コンサルタントを含め、長崎サミット会議などのメンバーに期待したいと思っています。


  最後にまとめと致しますが、人口減少にまつわる日々の変化は、極めてわずかであるために影響を感じにくいが故に、危機を感じにくいと思います。しかし、こうして手をこまねいている間にも、確実に人口は減り続け、じわりじわりと国民一人ひとりの暮らしが蝕(むしば)まれてゆきます。

 

恐らく10年後、20年後には日本の変化が誰の目にも明らかになり「少子化高齢化とはこういう事なのか」と思い知らされる事態に陥るのではないだろうかと考えております。中小企業だけではなく色んな方面をも含んだ社会全体に変化が生じてゆくと考えております。

 

私たちはいま、静かなる有事に直面していることを自覚しなければならないと思います。中小企業においては、スムーズに事業を承継するだけでなく、肝心なのはそれを契機に経営人材を強化して、新たな投資や採用を通して、競争力を高め、生産性を向上させることが大切になると思います

 

中小企業の経営者の年齢は刻一刻と上昇を続け、現在は60歳代後半の人が最も多いようです。よって総合的な対策は待ったなしであります。皆さん、この大廃業時代到来に知恵と力を合わせて乗り越えてゆきましょう。どうかご一考を。

 

 

 

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2018/03/30(Fri)

(No.462) 布施の教えに学んで人間性を高めましょう  (1/5)

六波羅蜜」(ろくはらみつ)という仏教の重要な教えがあります。そこには、煩悩に迷う私たちが悟りの世界に行くための六つのカギが示されています。今回のコラムは、それぞれの六つに触れていきたいと思いますが、その中でも中心とも言えるのが、今回のテーマの布施」(ふせ)という教えになります。

 

「布施」(ふせ)については、以前のコラムでも少しはふれたことがあると思います。六つの中の他の五つの教えも「布施」と密接に関わり合っていますから、その関係を理解して頂き、是非、できる限りの「布施」を日常生活の中で実践してゆければいいなぁと思っています。

 

  まず【「六波羅蜜」(ろくはらみつ)の教えについて学んでみたいと思います。

 

京都に六波羅蜜寺というお寺がありますが、その「六波羅蜜」という言葉の意味の説明をしておきたいと思います。「波羅蜜」(はらみつ)はサンスクリット語の「パーラミター」という言葉を当て字したものですが、この「パーラミター」には二つの解釈ができます。

 

一つは「パーラミ・ター」と2つに切って考えて、「パーラミ」が「完成」、「ター」が「であること」を意味しますので、「完成すること」と解釈するものです。もう一つは「パーラム・イ・ター」と3つに切って考えるもので、「パーラム」が「彼岸」、「イ」が「行く」、「ター」が「であること」という意味なので「彼岸に行くこと」と解釈するものです。

 

それらが合計六つあって「六波羅蜜」(ろくはらみつ)になりますから、「六つの完成」あるいは煩悩の世界から悟りの世界である彼岸へ渡るための「六つの実践」と解釈すれば良いと思います。何を完成あるいは実践するのかと言えば、①「布施」(ふせ)②「持戒」(じかい)③「忍辱」(にんにく)④「精進」(しょうじん)⑤「禅定」(ぜんじょう)⑥「智慧」(ちえ)の六つになります。

 

皆さんも、いつかは目にされたり、耳にされたことがあられる言葉だと思います。これらの波羅蜜、すなわち「六波羅蜜」を実践し完成させて彼岸に渡る、これが大乗仏教の教えであり、仏教者である限り出家者も在家の人も、実践しなければならないとされている教えであります。「六波羅蜜」の六つの行(ぎょう)を通して己の人間性を高め、心のやすらぎを得ることが目的であると言っても良いかもしれません。

 

しかし、完成といいましても、人間は煩悩に迷う凡夫ですから、全部を完成することは、まずあり得ないでしょう。いわば「未完成の完成」だと思われますから、それ故に、そこを目指して歩み続ける努力が大事だと言えるのかも知れません。本の中で「一歩前進、二歩後退」との言葉をよく見かけますが、それは、「ドンドン後退したとしても、一歩前に進もうとする行動をすることで、何があっても常に前向きの姿勢を失わないことが尊いのですよ」という意味が込められた言葉であると思います。

 

それでは以下、「六波羅蜜」の六項目について、一つずつ触れてゆきたいと思います。

 

人に喜びを与える布施(ふせ)】について

 

まず、「六波羅蜜」の一番目の「布施」についてです。国語辞典などには「布施」の意味として「信者が僧侶に差し上げる金銭・財物のこと」などとありますが、そのことにこだわる必要はありません。誰に対して施しても布施になります。しかし、あらゆる施しが布施になるかと言えば、そうではありません。施す人の「施者」(せしゃ)と、施しを受ける人の「受者」(じゅしゃ)と、施し施される物の「施物」(せもつ)という三つの要素が清浄、つまり清らかでないと布施にはなりませんよと言われています。

 

ですから、施す人が「俺が、お前に恵んでやっているのだ」という気持ちでは布施にはなりませんし、逆に施しを受ける人もお返しが気になる様ではダメなのです。こだわりなく差し上げ、こだわりなく受け取る、また物も清らかである、この三つが揃って初めて布施になるということであります。

 

(次回に続きます)

 

 

 

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