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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2020/03/06(Fri)

(No.563)人口減少社会は、イノベーションの宝の山だ!! (1/4)

  人口が減少している日本でも経済成長は可能です。困難を逆手にとって柔軟に次代を見通すべきです、少子高齢化と人口減少を悲観するのではなく、むしろイノベーションを起こすチャンスであると捉える視点が重要ですと述べておられる識者がおられます。経済学者の吉川 洋氏です。どういう視点なのか学んでみたいと思います。

 

人口減少社会については、私の過去のコラムでは否定的でネガティブな論調ばかりで展開していましたので(コラムNo547553)、異なったポジティブなご意見を尊重して考察をしてみたいと思います。同じ意見なら聞いても意味がないのですが、「違う意見を持つ人の話しこそ聞くべきだ」と日頃の口ぐせにしている私ですから、拝聴してみたいと存じます。

 

1.人口が減り経済が停滞する日本とは

 

日本が抱える一番の問題は、少子高齢化と人口減少の二つの問題です。2018年には高齢化に伴って医療・介護・年金にかかる社会保障給付総額は121兆円に達しています。これが5年後の2025年には140兆円、20年後の2040年にはなんと190兆円まで膨れ上がると予想されています。

 

今、日本の人口は約1億2700万人です。これが国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、約30年後の2050年には1億人を割り込んでしまうと言うのです。さらに80年後の2100年代に入ると、日本の人口は5000万人台に突入するという推計もあります。今の人口の約40%であり、約60%の減少になっています。

 

この様に、今後100年近くの間に、人口は半分どころか4割まで減ってしまうとのことです。ショックであります。興味深いのは、今から100年前、1920年(大正9年)の日本の人口は約5600万人でした。つまり、その人口が100年がかりで7000万人以上が増えて合計1億2700万人になり、この先100年かけて7000万人が減って大正時代の水準に戻るというわけです。100年かかって来た道を、同様に、また100年かかってもとに戻る様な話になります。不思議な現象としか思えません。

 

しかしアメリカやフランスは出生率が1.72や1.87と2.0に近いのに、なぜ日本だけが1.42で、こんなに出生率が低いのでしょうか?アメリカの場合は移民が極めて多いという特殊な事情があります。出生率は複雑な事情によって決まりますから、原因はこれだとか、この特効薬を使えば数字が回復するとは、一概には言えません。

 

ただフランスにおいては、政府が所得に拘わらず積極的に財政を出動し、出産・子育てを大いに後押ししていることが子供を産んで育てやすい社会づくりに作用していると思います。子供が生まれたらすぐにお金をだす。子供を産んだら得になるという政策を実行しているのです。

 

他にもフランスでは婚外子も支援する政策をとっています。日本では結婚していない親の子には十分な保障がありません。日本では子供を産むイクオール親は結婚しなければならないという前提があります。日本でもフランスの政策に倣って検討したらいかがなものでしょうか。

 

話が転じますが、日本では今、非正規雇用者の数がもの凄く多いです。30代の男性の正規労働者の既婚率が60%~70%程度であるのに対して、非正規労働者だと25%~30%しかありません。(2013年の調査より)

 

バブルの頃(1985年~1991年)、日本人の非正規労働者の割合は16%でした。つまり6人に1人でした。それが今や40%に上っています。これはバブル崩壊後にオールジャパンで非正規労働者を増やし過ぎた結果なのです。正規労働者として働きたいのに、なかなか正社員として雇ってもらえずに、苦しい生活を送る人もいます。結婚して子供を作りたいのに、経済力がないために思うようにいかない。こういう人達に救いの手が差し伸べられていない現状は大きな問題なのです。

 

この点に関してはようやく、非正規労働者を増やし過ぎた弊害に気づいて対応している企業が出てきています。例えばJALANAといった航空会社は、1990年代半ばからキャビン・アテンダント(客室乗務員)を非正規化して人件費をコストカットしていました。

 

それが、ANAは2014年から1600人ほどいたキャビン・アテンダントの契約社員を全て正規社員に採用変更しました。JALも2016年から追従しています。この様にキャビン・アテンダントのモラルを高め機内サービスを向上させるためには、むしろ正社員を増やして給料を上げた方が良いというわけです。

 

日本で増え過ぎた非正規労働者はそろそろ天井を迎え、これから各企業でバランスが是正されていくのではないかと思っています。一刻も早くバランスの是正を望みたいし、経営者の的確なる判断と意思決定に期待したいと思います。

 

(次回に続きます)

 

 

 

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・人間学  ・経営学  ・経営戦略  ・人材育成  ・組織運営 

 

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2020/03/13(Fri)

(No.564)人口減少社会は、イノベーションの宝の山だ!! (2/4)

  .経済成長のために本当に必要なものとは?

 

バブル崩壊(1991年3月~1993年10月、景気後退期・平成不況とも言う)以来、日本経済は「失われた10年」「失われた20年」などと言われて、良い兆しがありませんでした。令和の新時代になっても、日本人の多くは今の経済は黄昏(たそがれ)だと絶望しています。高度経済成長期の勢いと比べて見ると、人口減少下の現代をその様に言う人が多い様です。しかし、彼(吉川 洋)は、そこまで絶望的ではないと言っておられます。

 

1960年から70年代の高度経済成長期、日本経済は実質ベースで年間10%の成長を続けました。このころの日本について、「ドンドン人口が増えていた。だから経済は成長したのだ」というイメージを持っている人が多いのではないでしょうか。しかし実態はそうではないのです。「生産年齢人口」と呼ばれる現役世代(15歳~64歳)は、年間1.2%の増加に過ぎませんでした。経済は毎年10%成長しているのに、人口の増加は1%程度だったのです

 

当時は、中学校を卒業した若者が、集団就職でワ―ッと上野駅に上京してくるイメージがあります。あれは人口が地方都市から都会へ移動しているだけで、爆発的に人口が増加していたわけではないのです。ただの東京一極集中だったのです。私自身も人口が増加しているものとばかり思い込んでおりました。思い込みほど怖いものはありませんよね。

 

では、なぜあの高度経済成長が可能になったのでしょうか?それは、一人当たりのGDP(国内総生産)が毎年もの凄い勢いで伸びていたからなのです。この一人当たりのGDP(生産性と言う)を増加させるものこそ、イノベーション(技術革新)なのです。ということは人口が伸び悩んでいるからと言って、そう悲観することはないということになります。もちろん人口が増えるに越したことはないのですが・・・。

 

ポイントとしての考え方は、イノベーションを起こして、一人当たりのGDPが伸びることで、人口減少社会でも十分経済成長できるということなのですでは、イノベーションをいかにして起こせばよいのかと言うテーマが重要になってまいりますよね。後で少しですが触れたいと思います。

 

そこで気になるのが日本の企業です。1989年(平成元年)、世界のトップ50社の中に日本企業は32社も入っていました。当時の世界一位はNTTでした。世界ランキングには日本の銀行がズラリと入っていました。ところが2018年、世界のトップ50社の中に残っている日本の企業はトヨタ自動車1社だけです。そのトヨタでさえ35位です。あとは全部ランキングの圏外に落ちてしまいました。どうしてこうなってしまったのでしょうか?

 

1989年(平成元年)のバブル当時、日本は「東京が世界の金融センターになる」「日本の金融業はピカピカだ」と浮かれておりました。中曽根内閣の時代(1982年~1987年)でした。この時アメリカのレーガン政権は「日本は内需拡大をせずにアメリカにどんどん輸出ばかりしている。もっと内需拡大をせよ」と要求しました。そこで日本銀行の前川元総裁が「前川レポート」と呼ばれる報告書を出して、日本政府は強引にバブルを煽(あお)っていました。

 

そこに問題がありました。輸出しすぎてアメリカに叩かれた日本は「これから日本人はもうちょっとゆとりを持った生活をしよう。レクリエーション(余暇)をもっと楽しもうではないか」と考えます。そこで、通産省(現・経済産業省)はリゾート法(総合保養地域整備法)と言う法律を作り、日本人向けに国内のリゾート地開発を後押ししました。これがとんだ大間違いだったのです。

 

実は1985年のプラザ合意急速な円高が進んだのです。為替レートが1ドル240円から120円へと一気に2倍ほどに円の価値が上昇し、その結果として、かつての半値で海外旅行に行ける様になりました。若い学生やOLも海外へ行ける世の中になったのですから、国内のリゾート地に資源を投資している場合ではなかったのです。円高ですから輸入品や海外旅行は安くなりますが、輸出は円高の結果、輸出企業は売上が減少します。

 

前川レポート」のピントがずれていたうえに、政府も民間企業もお金を投資するべきポイントを見誤ってしまったわけです。日本は今も円高傾向ですから、過去の教訓から学ばなければいけないと思います。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」(独、ビスマルク)の言葉を思い出しております。  

 

(次回に続きます)

 

 

 

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2020/03/20(Fri)

(No.565)人口減少社会は、イノベーションの宝の山だ!! (3/4)

  .観光産業の成長に大いに目を向けよ

 

成長産業を見抜いて投資する、という観点では、政府のインバウンド(訪日外国人観光客)対策を評価していいと思います。先述しました、日本人向けのリゾート開発とは対照的であります。今やインバウンドは年間3000万人を突破して、4000万人の大台が見えていました。小泉政権の時に、「日本はこれから観光立国を目指すのだ」と方針転換をし、政府は観光に随分と力を入れて参りました。

 

(がしかし、世の中は無常というか、2020年に入ってから新型コロナウイルスの蔓延によりインバウンド数が激減してしまい、目標にはるかに届かない状態になっております。残念で仕方ありません)

 

2008年(平成20年)には、国土交通省の一つの部署だった官僚機構を観光庁として独立させています。安倍政権になってから中国人へのビザ発行要件を緩和して、皆さん知っての通り中国人観光客は爆発的に増大しました。日本は縦長の島国で、どこへ行っても景色が美しい。おもてなしの国ですから、日本に来た人は気持ち良く観光を楽しんで頂けます。

 

食事もおいしいですし、治安もとても良い。人口減少を根拠に日本経済について悲観的な見方が多いわけですが、観光の様な成功例に注目して、もっと我々は自信を持つべきだと思います。地方創生と言われているではありませんか。

 

地方は人口減少社会でも地域社会が持続できる道を各自で探るべきだと考えています。人口の東京一極集中は地方創生の推進とは裏腹にこの5年間で加速しています。地方は人口の増加どころか減少の一方であります。政権内部でも地方創生への熱気が薄れているのも否(いな)めないと思います。地域の意識改革など時間のかかる取り組みに腰を据えて取り掛かる時ではないでしょうか。

 

そうは言っても、日本は「第三次産業革命」と言われるIT革命に完全に出遅れました。「第四次産業革命」と言われるAI(人工知能)とロボット革命にも大きく後れを取っております。一方アメリカではGAFA(ガーファ)(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)をはじめとするIT企業がもの凄い勢いで成長中です。

 

日本企業の特徴について触れますと、日本は同質的な組織が多く、同質性を是とする企業が多いのが特徴です。同調圧力に従って皆の言うことばかりに従って生きてきましたその様な企業体質では多様な才能を確保できずに競争力は低下するばかりなのです。そればかりではイノベーションなんて生まれるわけがありません。そうは言っても、イノベーションをどんどん生み出すための確実な薬が無いのが悩ましいところです。

 

とりわけ金融の世界では、当面のあいだ深刻な混乱が続くでしょう。金融機関の収益率、利ざやはいまや0.2%まで落ち込んでいますから、特に地方の金融機関はヘトヘトに疲弊しています。10年後にはどう変化しているのか見通すことが出来ないくらいです。このままでは10年後には銀行は無くなるかもと言われている銀行のトップもおられます。

 

これまで銀行は企業への貸し付けで、その金利で食ってきたのに、今、企業は設備投資をせずに内部留保ばかりして貯め込んでいます。これからの銀行は、新しいビジネスをプロデュースするコンサルティングをしなければとても生き残ってはいけないでしょう。商社も製造業もみんな同じです。

 

その考えに先んじていたのが商社でしょう。商社は昔はモノを運ぶだけの商売でしたが、今の商社はベンチャービジネスに対する投資が仕事の柱になっております。

 

今の業態で食って行けないのであれば、将来を見据えて巧みに業態を変えて行くしかないでしょう。あまり悲観的になり過ぎずに、柔軟な頭で次代を見通す目を持つべきだと思います。

 

(次回に続きます)

 

 

 

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2020/03/27(Fri)

(No.566)人口減少社会は、イノベーションの宝の山だ!! (4/4)

  .必要は発明の母である、日本の未来を拓け

 

吉川 洋氏は、「少子高齢化と人口減少が進んでも日本経済は成長できる」と主張しておられます。もちろん膨れ上がる社会保障の財政をどうやって確保していくかと言う課題は、日本全体が考えるべき頭が痛い問題です。その上で日本経済全体について、私は、次の様にかなり楽観的な見方をしていますとのこと。

 

確かに、いまの日本経済を高度成長期やバブル期と比べることは出来ないでしょう。しかし、人口が毎年0.5%ずつ減り続ける中で、いまも実質1%以上経済成長している事実に目を向けるべきだ、と言う人口減少と経済成長を差し引きするとして、一人当たりのGDPは、毎年2%近く成長することになります。とすると、いまから35年後に一人当たりのGDPはいまの2倍になる計算です。と言う

 

その可能性があると断定されています。これは可能性があるとか、かも知れないとかの不確実な話ではなく、単純な算術で必ず行き着く結果であると言う。あと35年すれば、確実に一人当たりの所得がいまの2倍になる。そうした未来をことさら悲観する必要はないでしょう。いま20代から30代の人の生涯所得は、いま60代の人の生涯所得の2倍になるということですから。

 

昔、高度経済成長期の日本は、一気に成長の坂を駆け上がりました。いまの日本は、言わばエスカレーターでゆっくりと上昇していくように緩やかな成長に落ち着いていると言えます。すぐには分かりにくい穏やかな成長であっても、35年から40年後には2倍の成長に膨らんでいるとのことになります。

 

ただしこれは日本経済全体の平均の話しであって、格差や貧困の問題には、別建てで対策の手を打たなければなりませんと警鐘も鳴らしておられます。

 

先述しましたが、いまの日本では非正規労働者が40%です。また、月収20万円以下の労働者が1000万人を越えています。そうした人々への支援策を、政府がいまから準備しておかなければならないのは当然のことです。その上で人口減少を悲観視せずにイノベーションを生み出して行けば良いのです。

 

今や当たり前になっているSuica(スイカ)やPASMO(パスモ)といった自動改札も、バブル崩壊後に生まれた画期的なイノベーションなのです。

 

昔から「必要は発明の母」と言われる通り「困った」「手立てが必要だ」とされる分野でこそイノベーションは生まれるのです。事例はあげるまでもないでしょう。その意味で、表題の様に少子高齢化と人口減少社会は「イノベーションの宝の山」とさえもいえるでしょう。

 

出生率が高いアメリカやヨーロッパで、イノベーションと人工知能(AI)が発展すると、人々の仕事を奪って失業者が増える可能性があります。だが、人口減少の日本の場合は機械が仕事をやってくれたところで、人間が失業する心配はないでしょう。困難な時代を逆手に取って、一見、夢物語に思えるイノベーションを形にできれば、どれだけ少子高齢化と人口減少が進んだとしても、私たちは幸せに暮らしていけるのではないでしょうか。

 

と吉川 洋氏は豪語なさっておられます。彼のご意見に従って、余り悲観的にならずに楽観的に考えてみましょうか。

 

 

 

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