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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事
    一般社団法人アジアビジネス連携協議会(ABC) 顧問

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴40年超
    人間学・経営学など幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2014/05/10(Sat)

(No.262) 革新的なトップリーダーが減少しているのでは? 

デフレ経済不況が長く続いたため、管理優先の手堅い守りの経営者が増えている様な気がしています。それも大手中小弱小に拘わらずにです。その反面、リスクを取って自ら攻めて成長発展を目指す、リーダーシップを備えた革新的な経営者は総じて減少しているように感じています。
 
  経営トップリーダーの不足は、将来にわたり企業を脅かす問題になります。ある大学の2012年度の調査によれば8割弱の企業が、次世代のリーダーを確保できていないとのことです。これでは将来がとても不安になるのは私だけなのでしょうか。
 
では今後の求められる経営トップリーダーの資質や条件は一体何でしょうか?考えてみることに致します。以下の6点が少なくとも考えられます。
 
第一に 前例や人間的しがらみ、先入観、常識、固定観念にとらわれない自由な精神の持ち主」であることです。なぜならば、その人が改革を進めようとする過程において、しがらみがあると社内やOBから批判や抵抗が予想され、改革が進まない可能性が大いに考えられるからです。理想的には、しがらみから離れた強いリーダーシップを発揮できる人材が適任でしょう。どんなに叩かれても失うものがないと腹をくくれる人がいいでしょう。
 
第二に「率先垂範」の人であること。危機感を持って、社員の意識改革の必要性を粘り強く説き、かつ実行していく人です。トップ自ら矢面に立たなければ誰も責任をもって厄介な仕事はしないものです。いくら優秀な人がいても、口先ばかりで評論ばかりしている人では何にもならないからです。
 
第三に「人間的な魅力 」を備えている人です。人の心を一つにし、組織を束ねるには必要な条件の一つです。強さだけ厳しさだけでは人は付いていきません。優しさ思いやりの深い人、骨惜しみしない仕事ぶりや、社員に接する真剣さなどが周りの信頼感を醸成するのです。器量型・理性型より度量型・感性型の人物が望まれます。現場に惜しみなく入って行って、みんなの気持ちをつかむ人がふさわしい人でしょう。(器量・度量については、当経営コラムNo260をご参照下さい
 
第四に「明快なミッション(使命)・ビジョン(理念)」が不可欠です。新規事業の成否はやってみないと分かりません。ビジョンが練られてなく、あやふやでは、ぶれて脱線する恐れがあります。時間をかけてでも構想は練り上げることです。ビジョンが固まれば、もっと詳細に事業計画をまとめることです。数値だけでなく何を行動すればよいのかがわかる計画を立案する人です。今後の成長シナリオである経営戦略が立案できる人になるでしょう。
 
第五に「修羅場の経験」や「挫折体験」や「逆境による試練」の体験をしている人が適任でしょう。順境しか知らない人で、如何に資質に恵まれていても磨かなければ光りません。その理由は、困難な場に身を置いて自らそれを打開し、乗り越えることで資質は開花するからです。
 
  第六として 最後に「リーダーは手取足取り教えても育たない」ものです。知識技術は可能でしょう。よって自ら育つ機会や場を自ら選択して創り出すことは経営者の大事な仕事になります。つまり「リーダーにはチャレンジさせよ、さもなければ力はつかない」と言うことです
 
ここに「リーダーを育てる3要素」というのがありますのでご紹介しておきましょう。7対2対1の経験則のことです。具体的には、経験7割に対して、優れた上司やリーダーの下に付けて感化や薫陶を受けるのが2割研修で力を付けるのは1割というデータのことです。初めて聞かれる方は少し驚かれたかも知れませんね。
 
  講師がいて手取り足取りの研修では、リーダーは育てられないと言う意味です。如何に本人に経験や体験・実践させるかが重要であり、ポイントになると言うことです。研修で知識は学べ増えるでしょうが、知識と実践実行はまるで違うと言うことです。「知行合一」の教えと同じです。実践して初めて力が身に付くということです。
 
研修だけでリーダーを育てるのではなく、ビジネスの現場が次世代のリーダーを育む場として最適であるということです新サービス・新事業・新ビジネスモデル創造など、変革の経験をさせる必要があります。そのために失敗を恐れずにチャレンジさせることが重要なのです
 
  現在はトップリーダーではなく、まだ上司がいるサブリーダーの立場の人なら、部下の失敗を許す度量のある上司がいることが前提となります。現実はとても少ないとは思いますが・・・。上司がリスクを恐れ保守的な考えに立つ人であれば、部下の成長を上司自身が妨げていると言えるでしょう。
 
果たしてあなたは管理優先の守りの経営者タイプなのか?リーダーシップのある革新的な経営者タイプなのか?どちらのタイプに近いのでしょうか?上記六つの物差しに当てはめてみて自己診断してみてはいかがでしょうか。
 
最後に、リーダーは出来合の人材から選ぶのではなく、育てる、作るのが世界の流れになっていることも付け加えておきたいと思います。冒頭で8割近くの企業が次世代のリーダーを確保できていないと紹介しましたが、「日本の場合は育てていないから」でもあるでしょう。世界の流れに乗り遅れているのでしょうか?ご一考を。
 
 

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