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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2016/04/16(Sat)

(No.363) 貧富は心にありて物にあらず (2/2)

二宮尊徳に続いて、もう一つ事例を挙げてみたいと思います。今から約400年前、中国の明時代末の書である「呻吟語」シンギンゴ(著者:呂新吾ロシンゴ)という書物には、“”についての教えが残っております。

 

一般的に我々日本人のほとんどは、(貧乏)を恥じ、(地位身分が低いこと)を恥じ、(年を取ること)の三つの状態を、恥ずかしいもの、恥であると感じているようであります。

 

しかしながら、著者の呂新吾は、本来、是非善悪を分別して人を導いていくべき指導者が、恥を取り違えており、この三つの“貧・賤・老”こそが恥であると思い違いをしているのだと言っています。どこの世界でも、どの時代にも、このような凡俗なリーダーがおり、是非善悪の区別すらできない指導者が多いものです。今の我が国を眺めてみますと、職業や地位にかかわらず、ほとんどの人がこの三つを恥としているのではないでしょうか。

 

だから本当の指導者たるべき真のリーダー達は、この三つのことを絶対に恥じ入ってはならないと戒めております。この三つの“貧・賤・老”を恥じるのでなく、「自分だけの栄誉や富を求める姿を恥じて正せ」、表現を変えれば「金儲けや立身出世ばかりを追求する姿勢を恥じて正せ」ということであります。

 

それでは我々、経営に携わる者として、一体何を恥と考えればよいのか?と言いますと次の三点をあげています。「一つは親孝行をしないことが恥であり、二つ目は優秀な人材を活用しないことが恥で、三つ目は人や世のために尽くす徳業を持たないことが恥である」と言っております。よってこの三点が優秀なリーダーや指導者の基本的な条件であるとも教えています。この教えは数百年を経た現代においても立派に通じる教えであります。

 

では“貧・賤・老”の各々について具体的に「呻吟語」の中の文章を見てみましょう。

しきは恥ずるに足らず、恥ずべきはこれ貧しくて、しかもなきなり」とあります。貧は恥ではありませんよ、だが貧しい上にがないのであれば恥なのですよと言っています。

 

イヤしきは、これ悪ニクむに足らず。悪むべきは、これ賤イヤしくして、しかもなきなり」とあります。これは能力がないのではなく、努力しないから能力が出ないのですよ。本来、我々は無限の可能性を持っていますが、努力することによって初めてその能力が生きてくるのですよ、と言っています。

 

ゆることは嘆くに足らず。嘆くべきは、これ老いて、しかも虚しく生くるなり」と言っています。これは年を取ることは嘆くことではありません。ただ目標やを持たずに、毎日を虚しく過ごすことが問題なのですよと言っています。

 

現代の日本は超高齢化社会の到来と言われていますが、このテーマは「明日は我が身なり」の切実なるテーマでもあります。厳しく解釈致しますと、がなければ生きている甲斐がありませんよ。「いかに生きるか」ということは、我々人間にとっては最大の課題です。「そのためには生きる目的を持たなければなりませんよ」、要するに「人生を貫くものを持つことが必要なのです」ということでしょう。

 

この様に「貧・賤・老の三つは恥じ入ることではないのです」と教えています。現代の我々を感奮興起する戒めの言葉、勇気づけの言葉ではないでしょうか。今までという言葉が何回も出てきましたが、志について少し振り返っておきたいと思います。

 

現代の日本はその当時の明代と違って非常に物が豊富です。食べ物も不自由がないし、実に恵まれていると思います。あまりにも物が多すぎるため、無駄が多く贅沢過ぎるとさえ考えています。だから「現状を打破し理想を目指して発憤するのだ」という人が少なくなったのではと思います。

 

不自由がないから心がダレるのでしょうか?今の状態と比べて明代の当時は貧しいがためにをなくしている者があったというわけでしょう。「いかに貧しいといえども、貧しいと同時に志さえも失っていれば、それは恥ずべきことなのですよ」と戒めております。

 

というのは人生の希望や理想に向かって進んで行く精神を言います。その志を抱いて、世のため人のために尽くすには、まず自分が自立するということが第一でしょう。自立することによって、世のため人のために尽力する、何かお役に立とうとする、それが志ではないかと思います。

 

最後になりましたが、志というのはトップリーダーの5条件の中の一つでもあります。その中でも一番最初にあげられる条件であり重要な項目なのです。また「易経」には「すべては志から始まる」と何回何回も出て参ります。


  その
を持つには、先ほども触れましたが、人生のテーマや生きる目的を持つことが必要になるでしょう。さぁ、あなたは「確乎たる志」と呼べるものをお持ちでしょうか?

 

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