• プロフィール

    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

  • 検索フォーム

  • QRコード

    QRコード
  • FC2カウンター


2018/06/22(Fri)

(No.474) リーダーは「上位目的」を持って国の危機に対処せよ  (2/4) 

  その一方で諸外国では、米国のオバマ前大統領、英国のキャメロン前首相やメイ首相、ドイツのメルケル首相など、世界のトップリーダーはインフラ整備の重要性について頻繁に発言をしてきました。彼らはどれだけ道路網や鉄道網、港湾整備などのインフラを構築してきたかによって、その国の産業の効率性や競争力が規定され、経済成長につながるかをよく理解していたのです。

 

恥ずかしい話ですが「インフラ整備が国家繁栄の基礎をつくるにも関わらず、インフラは必要ない、無駄である」などと言っているのは日本の政治家くらいなものであります。政治家の質が問われているテーマだと考えて良いと思います。

 

インフラ整備に関して諸外国の例に触れましたが、データを参考に致しますと、いかに自国の財政状況が厳しくても、米国は約2倍、英国は約3倍にまで公共事業費を拡大してきました。世界の国々が懸命に国土改善の努力を重ねている中で、日本だけがその努力を怠ってきたのです。その結果、日本のインフラは各国と比べて相当な遅れをとり、大きな差がついてきたのです。その結果として、前述のように経済成長がこの20年間全くストップしてしまったのであります。えっそうなのと、少し驚かれたかもしれませんね。

 

インフラ整備に関しての一例を挙げてみますと、人口8200万人のドイツが、時速130キロ以上で走れる13千キロの高速道路(アウトバーン)を持っているのに対して、人口1億2700万人の日本では1万2千キロほどしか整備されておりません。しかもその三分の一が暫定二車線という正面衝突の危険がある道路で時速70キロでしか走れません。

 

さらに鉄道においても、ドイツは約4万2千キロもの鉄道ネットワークを持っているのに対して、日本では約2万7千キロしかありません。自動車で移動した場合、ドイツでは1時間で約90キロ走れますが、日本では約50キロしか走れません。この差が経済成長に欠かせない物流効率や人の移動効率を下げているのは明らかであります。ちなみに日本とドイツの面積比は、日本を100とするとドイツは94ぐらいで少し狭い様な感じです。平野部はドイツの方がすごく多い様ですから、この点でインフラ整備が進んだのかもしれませんね。

 

ところで、働き方改革を進めるのは、もちろん良いことだと思いますが、まず、適切なインフラ整備によって生産性の向上が可能になるための条件である、「環境整備」に取り組むことこそが、政府の役割ではないのでしょうか。いまこそ私たちは西洋の歴史に学び、中長期的な視点において、国の発展におけるインフラ整備の重要性を認識しなければならないのではと考えていますが、いかがなものでしょうか

 

将来の話しに転じますが、2030年には、日本のすべての都道府県で人口減少に転じると予測されています。なかでも地方は厳しい様です。知らない人はおられないと思いますが、少子高齢化の進行であります。今ここで私が「もっともっとインフラ整備を進めよ」と言っても、色んな視点があるために、一筋縄ではいかないかもしれませんね。

 

なぜかと言いますと、例えば現在の道路・橋だけでも将来の2030年には全体の6割が建設から50年を超えるため老朽化が深刻になり、改修工事や修理が発生するとのことです。更新費用が発生するのです。仮に新規のインフラ整備をやめて、自治体の公共事業予算をすべて更新費に振り向けたとしても膨大な社会資本全体を維持することは、もはや難しいとも言われています。だから将来にわたって残すインフラや施設を選別するしか方法はないのではと考えております。

 

公共施設の老朽化や新築建て替え、小中高等学校の統廃合の問題もあるでしょう。市や町も現状よりも縮めてコンパクトな街に再編する必要があるでしょう。このまま人口密度が低下すれば、生活に欠かせないお店や施設の撤退も避けられないでしょう。車を運転できない高齢者が増えれば、今のような車に依存した都市構造では行き詰るかも知れませんね。

 

また、2030年頃には、住宅の3戸に1戸は空き家になるという推計もあります。だからもう郊外の開発は抑えるべきかも知れませんね。反復しますが、全てをコンパクト化するというコンセプトが大切になってゆくでしょう。そのコンセプトに従って現状を造りかえることが大事になるのではと思っております。

 

(次回に続きます)

 

 

 

★ 経営コラムのカテゴリーの種類は以下の通りです。カテゴリー別に御覧いただけます。

・人間学  ・経営学  ・経営戦略  ・人材育成  ・組織運営 

 

★ みな様のご意見・ご質問・ご感想をお待ちしております。 yamacon@har.bbiq.jp

 

 山口一道 経営コンサルタントのホームページ

Home | Category : 経営学 |  Comment  |  Trackback
Home Home | Top Top