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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2019/09/20(Fri)

(No.539) 大企業の不祥事はなぜ続くのだろうか? (2/3)

  ガバナンス・システム(企業統治システム)が機能していないのは決して東芝に限ったことではありません。日本独自のガバナンス・システムが世界でも異例なケースなのです。株主に代わって経営者をコントロールすべき取締役会が社長の部下である業務執行者で固められていることなど、又、監査役には取締役会での議決権がなくトップを解任できないことなど、そこには様々な矛盾をはらんでいます。そういう日本ならではの特有な馴れ合いの体質が不正を温存し助長していることは明らかな事実であります。

 

東芝はその弊害を補う目的で、早くから海外のモデルを参考にして指名委員会等設置会社をつくり、社外取締役を設けていましたが、結果的にトップの暴走を抑えることができませんでした。社外取締役に企業会計についての十分な知識や理解力がなく、胆力もなかったから、トップの意向に流されてしまったのです。

 

社外取締役には優れた専門性に加えて、トップにおもねることなく自己の信念や判断に基づいて行動する気概と独立性が強く求められます。会社に何らかの恩義を感じている取引先関係者を選ぶようでは、いずれナアナアになり、せっかくの内部統制システムも機能しなくなってしまうでしょう。有効なのは、弁護士、会計士といった職業倫理を旨とする独立したプロフェッショナルを入れることです

 

実際、海外では弁護士や会計士を社外取締役に迎えるケースが数多くあります。弁護士は違法カルテルや食品偽装、労働基準法違反などに目を光らせ、不正会計を監視するには優れた公認会計士の存在が欠かせません。

 

アメリカには120万人の弁護士と、30万人の会計士がいて、相当数が企業内で働いています。しかも、アメリカの弁護士はロースクールでは職業倫理、独立性を徹底して叩き込まれ、切磋琢磨しながら激しい競争社会を生き抜いていきます。

 

ところが、日本はどうでしょうか?現在、弁護士は約4万人、公認会計士は約3万人で、少人数によるもたれあいの世界です。企業で働いている弁護士はまだ2000人で若年層が中心です

 

参考として、アメリカの人口は日本の約3倍で3.2億人になります。人口比で単純に比較しても、弁護士や会計士の数は非常に少ないのではと考えてしまうのは私だけなのでしょうか。アメリカは訴訟社会と言われていますが、それにしてもと考えてしまいますよね。

 

日本企業の内部統制システムを十分に機能させようと思えば、トップに迎合しやすいメンバーに代わって専門性、独立性の高い弁護士、公認会計士を入れることは大変有意義であり、そのことを考えれば現在の法曹界と会計士界の仕組みそのものを変革する時期に来ているのではないかと思います。

 

また、アメリカの企業にはゼネラル・カウンセル(法務担当役員)というポジションがあります。社長に次ぐ高い地位と権限を有し、コンプライアンス(法令遵守)に関する全責任を負います。社員の不祥事により社長の責任が問われる場合は、アメリカではこれをコンプライアンスの問題と捉えてゼネラル・カウンセルが矢面に立って責任を取ります。いわば社長を守り、会社の信頼を失墜させないための重要な役割を担っているわけです。

 

残念ながら、日本にはこの様な役職者はほとんどいません。このプロフェッショナル力の差が日本の経営者のガバナンス(企業統治)とコンプライアンス(法令遵守)の弱さに繋がっていることは否定できないと思います。

 

(次回に続きます)

 

 

 

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