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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事
    一般社団法人アジアビジネス連携協議会(ABC) 顧問

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年超
    人間学・経営学など幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2020/04/24(Fri)

(No.570)最低賃金の引き上げが、日本経済の特効薬では?(4/4)

  【最低賃金の引き上げが経済再生の早道であるのでは?】 

 

人口減少が進む日本で経済を再生させるには、最低賃金を引き上げるしかないと提唱している方がおられます。デービット・アトキンソンというイギリス人で日本の企業の社長をなさっている、見識もかなり高い方です。

 

しかし、日本商工会議所は、「最低賃金を引き上げると中小企業の倒産が増えて景気が悪くなる」と反対しています。経営者側の意見を代弁しています。もらう側の立場に立てば、賃金やお給料が増えて嬉しいばかりだと思います。どちらの立場で考えるかで、まるっきり反対の意見になってしまいます。困ったものであります。

 

では、どうして最低賃金を引き上げると経済が良くなるのでしょうか?それはまず、海外の研究によれば、最低賃金の引き上げと生産性向上には因果関係があることがすでに解明されているからです議論の余地はないのです

 

前述しましたが、生産性向上は日本経済の大きな課題ですから、そのためにも最低賃金の引き上げをする必要があると言うことになります

 

それと、何回も触れてきましたが「規模の経済」の追求という「出口」を示して、中小企業の合併をどんどん進めて行かないといけないわけですが、「出口」を示しても商工会議所の反対が示す様に、日本の中小企業経営者の何割の方々がその道へ進むのかが、まったく見えませんし保証がありません。

 

日本の中小企業の経営者は危機感が薄いと述べましたが「現状のままでいい」と思ってしまう経営者が多いと言う懸念もあります。「人口減少で過剰になる国内供給の分、海外に販路を広げないと生き残れませんよ」と言ったところで、「いや、うちは国内だけでなんとかなるし、外国人相手の商談なんかしたくはない」と思う人が多いかも知れません。

 

だからこそ、最低賃金を引き上げて、規模の経済を追求しなければ中小企業が生き残れない状況を段階的に作る必要があるのです社長達が必死になる様に背中を押すことが必要なのです

 

ではここで、外国の事例や歴史に学んでみたいと思います。まずイギリスに学びますが、イギリスも日本と同じく社会保障負担が大きくなっているのに生産性が低迷していましたから、最低賃金を引き上げました。生産性を上げて、給料を上げずに税金を上げると、その政権は選挙で負けてしまいます。そこで、選挙に勝つために賃金を上げるほうを選んだのです。

 

当然、経営者側は不満を言いましたが、経営者より労働者の方が圧倒的に多いわけで、労働者の声を聞いた方が選挙で勝てるわけです。日本も同じです。経営者側は引き上げに反対ですが、日本の経営者が約360万人なのに対して、労働者は約6000万人以上います。どちらの方を向けば選挙に勝てるかは言うまでもないでしょう。

 

現在は労働党から保守党に政権が変わっていますが、最低賃金制度はそのままで変わっていません。その理由は、導入時には失業率が大量に増えると言われましたが、逆に失業率は導入後にむしろ下がっています。税収も増え、生産性も上がりました。それでこのままの方が良いとなり、保守党政権が賃上げを加速させたのです。

 

次に、韓国の事例にも学んでみましょう。2018年に最低賃金を引き上げましたが、失業者が増えて失敗いたしました。これは一気に上げ過ぎたからです。初年度に16%、2年間の合計で約30%も上げましたから失敗しています。

 

経済学では、賃金は段階的に上げて行くことが大原則なのです。アメリカの研究によれば、単年度に12%以上あげると経済的に悪影響が出ると言われています。残念ですが、韓国ではその理論が生かされていなかったのですね。

 

では、日本の場合はどれぐらい最低賃金を上げたら良いのでしょうか?アトキンソン氏の計算では、年率5%の引き上げが適切な数値であると言われてます。安倍政権ではここ4年程、年平均で3%の最低賃金引き上げを行ないましたので、もう少し頑張ってほしいと思います。

 

最後にアトキンソン氏の言葉を紹介して終わりにしたいと思います。「私も経営者ですから、毎年社員の最低賃金を上げるのはつらいです。だから、引き上げに反対する経営者の気持ちも良く分かります。ただ、国益を考えれば上げるしかないでしょう。日本経済が上向けば、自社にとっても必ずプラスになるのです。もう、社員を犠牲にして経営を成り立たせる時代ではない様ですね」とのことであります。

 

日本にどっぷりと浸かっていては、自分の国の状態が明確に見えない様ですね。良く言われていますが、多様性というダイバーシティが働くことによって、外国の方から日本を眺めると良く状態が明確に見えるということだと思います。ダイバーシティは変革(イノベーション)の起爆剤になり得るのですね。ご参考に。

 

 

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