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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2020/06/12(Fri)

(No.577)アップルのスティーブ・ジョブズ氏の逆転の発想に学ぶ(2/2)

   【捨てよ!! さもなくば成長は出来ない】

 

何かを捨てなければ前に進めない。IT企業の旗手、アップル社の共同創立者の一人であるスティーブ・ジョブズ氏の経営術は、徹底した「選択と集中」の思想に支えられてきました。

 

選択と集中」の重要性については、どこの経営塾でも真っ先にそれを教えます。経営学の「いろはのい」ではありますが、ジョブズ氏によれば、口で言うほど「楽な仕事ではない」と言います。同感される方は多いだろうと思います。

 

選択と集中のためには、何を捨てるかを決断する必要があるそこで成功するかどうかで企業の将来が決まりますと言う。

 

 1985年にアップル社を追放されたジョブズ氏が11年後、同社に復帰した時、アップルコンピュータは、次世代型基本ソフト(OS)の開発に行き詰まり、ウィンドウズ95の開発成功で波に乗るライバルのマイクロソフト社に大きく差をつけられていました。

 

 開発状況を点検したジョブズ氏は、担当者を呼んで叱りとばします。開発チームは自社の開発を諦め、ジョブズ氏が追放後に立ち上げた会社で開発したOSに、旧バージョンのインターフェースを載せようとしていたのです。

 

 彼は言いました。「安易な方法をとるな考え方をリセットしてゼロからやり直せ」。この叱咤によって、新時代の安定的なOSX(テン)を乗せたiMacが大ヒットし、アップル社がライバルであり先行していたマイクロソフト社を猛追することになったのです。

 

 このことは、やりかけたものを改良してもダメなら、それまでの開発費を惜しいと思わずに、ゼロからやり直す発想が大事であることを語っています。

 

【成功体験にこだわるな】

 

ジョブズ氏の「常に何かを捨てて前進する」との方針は徹底しています。彼は言います。「特に、上手くいっている時や、世の中で、製品が高い評価を得ている時には、それを打ち切るなど、普通の企業はやるはずがありません。少しずつ改良して長く売ろうとするでしょう」しかし、ジョブズ氏の発想は違っていました。前に進むためには成功体験をも、こだわらずに捨てることであると言っています

 

 たとえば、携帯型デジタル音楽プレイヤーiPodシリーズの開発でも、売れ筋のiPod miniの生産を打ち切り、薄型のnanoの開発に邁進する。これによる技術の蓄積がスマートフォンブームをリードするiPhoneの登場につながったのです。

 

 普通なら、あるメガヒット商品が生まれれば、それに安住し、これで良しとするでしょう。「やったぞ、ここで失敗したら失うものが大きいぞ」と考えて安全策を取りたくなるものです。「だが、これが一番危険な落とし穴なのです。もっと大胆にチャレンジを続けるべきですと言うのがジョブズ流の逆転の発想なのです。勇気を持って成功体験をも捨てると言っています。このことは一般の経営者なら考えられないことであるでしょう。

 

 話は変わります。【次の一手を産むために捨てる】のです。 

 

 「捨てること」が、次の一手を生み出すのは、将棋の世界でも同じであります。弱冠25歳で史上初の七冠を達成し、その後も将棋界の記録を次々と塗りかえ続ける羽生善治(はぶ よしはる)氏は、「ひとつの手を選ぶことは、それまで考えた手の大部分を捨てることだ」と話しています。

 

 確かにひとつの局面での選択肢は、過去の棋譜(きふ、記録)、相手の出方を考えると何万、何十万とあります。その中からひとつの手を選ぶことは、膨大な数の手を捨てる作業であるでしょう。

 

 「山ほどある情報の中から、自分に必要な情報を得るためには、『選ぶ』よりも『いかに捨てるか』のほうが重要」と言い切る羽生(はぶ)氏は、「手は浮かぶものではなくて、消去して残ったものなのです」と指摘しています。

 

 まさに名人の域にある羽生流ですが、彼でも、捨てることには未練が残ると言っています。「たくさん時間を費やした手に対しては、どうしても愛着が湧いてしまいます。いつもシビアにドライに割り切ることができればいいですけど、そういうわけにはいきません」と正直に吐露しています。

 

 「別の手を選んでいれば、こんなに劣勢になっていないのに」と思うこともあると言ってますが、「その手を選んでいたら優勢になっていたかと言うと、それはまた別問題なのです」とも言っています。

 

 選択によって、良くも悪くもどちらにも転ぶ可能性があります。ならば、「自分が選んだものに対して責任を持ちつつ、自信を持つことが大事なのではないでしょうか」と。

 

 名人がたどり着いた境地は、「楽観論」であります。楽観主義であります。意志があるからです。悲観主義ではありません。悲観主義は気分のものであるとのアラン(仏、哲学者)の言葉が思い出されます。

 

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