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    山口一道

    Author:山口一道
    山口経営コンサルタント事務所 代表
    YMCグループ 代表理事

    長崎大学経済学部卒
    経営コンサルタント業歴35年
    リーダーシップをはじめ幅広いテーマに対応 
    リーダーのあり方に警鐘を鳴らし、若手経営者の育成に力を注いでいます。

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2018/06/08(Fri)

(No.472) 片言隻句(へんげんせっく)の魅力に学ぶ (2/2) 

  前回は『言志四録』の中にある三学戒」という片言隻句に触れてみました。あらためて「三学戒」の意味を説明するまでもないとは思いますが、念のために書いておきましょう。「若くして学べば、大人になって、世のため、人のために役立つ人間になる。壮年にして学べば、年を取っても衰えず、いつまでも活き活きとしていられる。老いて学べば、肉体が滅びようとも、その精神は永遠に残る」となるでしょう。

 

私も人間として生まれたからには、命ある限り、こういうふうになりたいものであります。死んだ後も後世に役立つような財産を残す。遺産というものは形あるお金や物質だけではないでしょう。むしろお金よりも精神を残すことが貴重なのだと思います。精神であれば朽ちることはなく、何世代にもわたって伝えることができるものです。

 

まさに「肉体が滅びようとも、その精神は永遠に残る」のであります。だからこそ昔の人は、あえて片言隻句の短い言葉で残してくれているのだと思います。長ったらしい文章は何代にもわたって残りにくいと言うことを知っていたのでしょうね。納得であります。

 

ここで物や有形の財産に関しての短歌(31文字)を少しだけ思い出して触れておきたいと思います。

 

あの世へは 何も持っては 行けないの 裸一貫 元のままなり

スタートも エンドもすべて ゼロである ゼロで始まり ゼロで終わるの

人生は プラスマイナス ゼロである どんな人でも ゼロであの世へ

 

でありますから、我々は現世であまり物にこだわる必要は無いのですよと先人は教えております。

 

「三学戒」につづいて、次の二つ目の片言隻句は、「才徳の弁・小人君子の弁」を述べている言葉を挙げてみたいと思います。「才徳全尽、之を聖人といい、才徳兼亡、之を愚人という。徳、才に勝つ、之を君子といい、才、徳に勝つ、之を小人という。およそ人を採るの術、いやしくも聖人君子を得て之に与(くみ)せずんば、その小人を得んよりは愚人を得るに若(し)かず」とあります。司馬光の『資治通鑑』(しじつがん)という書籍に出ている言葉です。

 

意味を説明しますと、「才と徳が完全なる調和をもって大きな発達をしているのは聖人である。反対に才と徳が両方とも貧弱なのは愚人である。およそ才が徳に勝てる者は小人といい、これに反して徳が才に勝(すぐ)れている者は君子という。人を採用する時は、絶対的に君子を採って、小人を排し、万が一、小人を採るのであれば、むしろ才無き愚人を採るほうがまだ良いのです」となるでしょう。

 

才とは今で言えば才能の才で、知識や技能・技術、徳とは人間性や人格などと考えて良いと思います。この片言隻句は多少能力があるからと言って小人を会社に入れて、しかも、その小人に地位を与える様なことをしてはいけませんよ、と教えているのです。もしも小人を採るのであれば、むしろ能力のない人を採った方がいいですよと。

 

この「」という文字には、副詞として「わずかに」という意味があります。だからだけがあっても、それだけでは「わずか」に過ぎないのです。その才を活かすためには、基本の部にがなければいけないのですよ。徳という基礎の上で、才という能力を運用するのですよと教えています。

 

いかに才が多くあっても徳がないのならば、つまり小人のことですが、愚人を採る方が、まだましであるということになります。愚人は徳も才も不足していますが、育て方を間違わないならば素直でありますから、スクスクと成長し立派な人物になっていけますよという意味になります。

 

この片言隻句の文章を読まれた経営者は、一体どのような印象をもたれたのでしょうか?人財の採用活動において、どうしても才が中心であり、知識・技能・技術・専門的能力・学歴などを優先して合否の判定の物差しにしている企業がほとんどではないでしょうか?ご一考を。

 

 

 

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